内容説明
カリブ海を代表する作家が生まれ育ち、少年時代の記憶を留めるラマンタンの入江。そのさざ波から銀河へと想像力を共鳴させながら、支配と困難に満ちた“世界”を思考する詩的評論。
目次
無限定な数の鳥にも似て
「砂の雨」へのプレリュード
プランテーション、町、都市
民の想像界
帝国
ヤム、アイ・アム、ラム
横溢する海
解けがたいもの
場所、機会、口実をめぐって
著者等紹介
グリッサン,エドゥアール[グリッサン,エドゥアール] [Glissant,´Edouard]
1928年、マルティニクのブゾダンに生まれ、2011年、パリに没した。作家。カリブ海文化圏を代表するフランス語の書き手ならびに来たるべき世界を構想した思想家として、没後も依然として世界的注目を浴びている
立花英裕[タチバナヒデヒロ]
1949年、宮城県に生まれる。早稲田大学大学院文学研究科博士課程満期退学。早稲田大学名誉教授。専攻、フランス語圏文学
工藤晋[クドウシン]
1960年、練馬区に生まれる。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程退学。現在、翻訳家、都立高校教諭。専攻、カリブ海文学、詩学、批評理論
廣田郷士[ヒロタサトシ]
1987年、福島市に生まれる。東京大学大学院総合文化研究科博士課程(およびパリ第八大学博士課程)在学中。専攻、カリブ海地域フランス語文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スミス市松
14
『〈関係〉の詩学』や『全-世界論』に続く「詩学Ⅴ」と銘打たれた本著では、それまでの著作で語られてきた諸概念が具体的なイマージュを伴って展開されている。たとえば冒頭で描写される「無限定な数の鳥の飛翔」を『〈関係〉の詩学』に照らし合わせれば、一羽一羽の鳥のはばたきは「世界の響き」であり、彼らの予見しがたい結びつきの技法を「〈関係〉の詩学」、そして凝縮し絢爛たる〈形態全体〉を「世界というカオス」あるいは「全-世界」と呼んでも差し支えない。小説同様に評論上の諸概念も彼の記憶にあるイマージュや風景と結びついている。2021/09/27
リンタ0209
10
放送大学でも取り上げられた作家。 リアルな様なそうでないような表現に吸い込まれていく。まるで見えている全てを表現したいみたいな感じ。2024/05/29
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- 和書
- 古典経済学と初期社会主義