内容説明
一言一句、目を凝らすようにして小説世界を追いかけると、ぴたりと符号する文字の並び、登場人物の変化、会話の妙、読者を巻き込む位相、そして他の作品への目配せ―バルザックの『人間喜劇』に張り巡らされた仕掛けが動き出す、冴え渡る読みの手ほどき!
目次
活字に魅せられた男バルザック
第1部 見つめる男たち(黄金の夢の彼方に―『ファチーノ・カーネ』の幻視;白い肩の向こうを覗けば―『谷間の百合』の意匠;パリの高みから何を見たか?―ラスティニャックとリュシアン;街角の視線―『鞠打つ猫の店』の構図;人を見る、人を知る―『ゴリオ爺さん』におけるvoirとsavoir; 死者の目、生者の目―『シャベール大佐』における「まなざし」;教会の一隅に祈る―『無神論者のミサ』の真実;絵の具の堆積の下に―『知られざる傑作』の変貌;独り者のコレクション―『いとこポンス』の面白さ;虹の中の幸福―「トゥールの司祭」とは誰か?)
第2部 見つめる女たち(無垢な瞳の魔法―『ユルシュル・ミルゥエ』の幻視;黄金の火に焼かれて―『ウジェニー・グランデ』における光;川揉み女の見たもの―『ラ・ラブィユーズ』、欲望の構図;性を見つめる―『いとこベット』の深淵;ハートのクイーンの失敗―『ソーの舞踏会』の男と女;寄宿舎の窓から―『二人の若妻の手記』女の変貌;声とまなざし―『アルベール・サヴァリュス』のヒロイン;不義にして富み高きは我にあっては浮雲の如し―『禁治産』に見る中国;クレオール母娘のたくらみと恋―『結婚財産契約』の裏側;誘惑のディスクール―『県のミューズ』から『ボヴァリー夫人』へ)
著者等紹介
柏木隆雄[カシワギタカオ]
1944年、三重県に生まれる。大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。パリ第七大学博士(文学)。大阪大学名誉教授、大手前大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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