内容説明
息子はかつて父親に恋をした男と語り合い、娘は母親に抱く憎しみを滔々と述べ立てる。恋人を、友人を喪い、心に傷を抱えて生きる人たち―21世紀という時代と切り結ぶ7人の若き作家たちが、各々の多彩な手法で人間の生の混沌を剔出する長編戯曲7篇。
著者等紹介
田尻陽一[タジリヨウイチ]
1943年生まれ。関西外国語大学名誉教授。専門はスペイン演劇。劇団クセックACTでスペイン語演劇の翻訳・脚本を担当
岡本淳子[オカモトジュンコ]
1961年生まれ。大阪大学大学院言語文化研究科准教授。専門はスペイン現代演劇
矢野明紘[ヤノアキヒロ]
1981年生まれ。レオン大学博士号取得。専門はスペイン演劇(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nightowl
1
物語として成り立っているものやこれどうやるの!?と仰天してしまうくらい自己主張が強いものなど、様々な作品が勢揃い。父親の遺品整理中男性からの愛の手紙を発見。彼はどんな人間なのか家を訪ねる「風に傷つけられて」弟探しが自分探しの奇妙な世界へ「さすらう人々」某歴史的作家に関係していた捕虜である中尉の正体とは「暗い石」の三作が前者にあたる。後者は生き難さを語る「地上に広がる大空ーウェンディ・シンドローム」の衝撃がずば抜けている。個人的には前者が好みだけれど、演劇に対する固定観念を破壊したい御仁には後者がお薦め。2019/12/22
葛
0
2019年10月25日第1版第1刷印刷 2019年11月1日第1版第1刷発行 フアン・カルロス・ルビオ「風に傷つけられて」(1999)、ブランカ・ドメネク「さすらう人々」(2009)、ホセ・マヌエル・モラ「わが心、ここにあらず」(2009)、アンヘリカ・リデル「地上に広がる大空」(2013)、アルベルト・コネヘロ「暗い石」(2015)、アントニオ・ロハノ「怒りのスカンジナビアー四人の役者、一つの影、一匹の猫のための夢想」(2016)、デニセ・デスペイロウ「渦巻星雲の劇的起源」(2016) 編者:田尻陽一2020/02/08