目次
クリスチャン・ボルタンスキーと神話
クリスチャン・ボルタンスキーの作品における顔のイメージについて
“アニミタス”と“ミステリオス”―クリスチャン・ボルタンスキーの近作インスタレーションについての覚書
終わりなき巡礼
対談 クリスチャン・ボルタンスキー×杉本博司
亡霊(的な)88の質問
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くまさん
22
この世界のあらゆる生命は死ぬことを運命づけられている。息を引き取った後には、この世界の空気に触れることは原理的に不可能である。《ささやきの森》や《心臓音のアーカイブ》の空間のなかで感じた戦慄が蘇る。「いかなる私の芸術も死や忘却の概念に対して無力だと言ってよいでしょう。何故なら死には抗えないのですから。忘れられてしまうという事実に抗うことはできないのです」(杉本博司氏との対談)。そうなのだろうか。「踏み潰されるアリ」のような死の連鎖に対して芸術家は応答し続ける。他者が生きた時間の証しが作品に刻まれている。2021/05/27
なる
3
2019年夏に国立新美術館で開催された大回顧展の図録。生と死を生々しく捉える。心臓の鼓動が連動する照明に引きずられながら、新聞記事中の死者の写真を集めたインスタレーション群は観る者に悪寒すら与える。生と死のゲートを潜り抜けると正面にはそびえ立つ黒い山。「ぼた山」と名付けられた巨大なそれは、黒いコートの残骸をひたすら3トン近く積み重ね、観る者はどうあっても一つのイメージを想起させられる。ちょうどこれを観たのは8月9日。ボルタンスキーのメッセージ性は別としても、日本人として結び付けずにいられない。
92427707
3
開催中のボルタンスキー展図録。 存在と死について表現を続けるアーティスト。彼の作品は前知識が無くともホロコーストを連想させると思っていたがやはりその影響が強いのだという事が分かった。 この図録で大まかにボルタンスキーについての知識は得られると思う。 この回顧展は本当に良かったので可能であるなら見て頂きたい。2019/08/18