出版社内容情報
怠慢な犯罪者たちが感情のままに貶めてきた「殺人」を救え! 完全犯罪という大いなる使命を抱いた主人公によって『失われた時を求めて』の登場人物たちが、ある一定のルールに基づいて、1人、また1人と殺されていく、実験文学集団ウリポ(潜在文学工房)の数少ない女性会員による、奇想天外な犯罪小説。
アンヌ・ガレタ[アンヌ ガレタ]
著・文・その他
高柳和美[タカヤナギカズミ]
翻訳
内容説明
完全犯罪という大いなる使命を抱いた主人公によって『失われた時を求めて』の登場人物たちが、ある一定のルールに基づいて、1人、また1人と殺されていく、実験文学集団ウリポ(潜在文学工房)の数少ない女性会員による、奇想天外な犯罪小説。
著者等紹介
ガレタ,アンヌ[ガレタ,アンヌ] [Garreta,Anne]
1962年、パリに生まれる。小説家。レーモン・クノーらが創設した潜在文学工房(ウリポ)の数少ない女性メンバー。エコール・ノルマル卒業後、デューク大学とレンヌ大学で教鞭をとる。二十三歳で処女作『スフィンクス』(1986年。新潮社、1991年)を発表、その後、『ノット・ワン・デイ』(2002年)でメディシス賞を受賞し、現在も作品を発表し続けている
高柳和美[タカヤナギカズミ]
1979年、富山県滑川市に生まれる。東京大学文学部卒。金沢大学大学院修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゅー
16
プルーストの作品が内容に大きく反映されているのかと思ったら、そうでもなかったというのが一番の印象。原タイトルは『分解』であり、殺人者である語り手が被害者を「解体」し、そのことで『失われた時を求めて』を「分解」するプロセスを指している。作者はウリポに所属する女性作家。とてもウリポらしい作品なんだけど、それ故にウリポらしい晦渋さ、衒学趣味も引き継いでいる。本作は、殺人事件を触媒とした言語遊戯の側面が強く、近づきがたい作品だった。2019/05/27
Naoko Takemoto
11
苦肉のサブタイトル?『フィクションの楽しみ』があっても、プルーストのファンは本書の感想など語らない、というか、相手にしないと思われる。不謹慎かも知れないが、完全なるパロディなら許せたが、失われた生を求めてといった、変にプルーストの大作を殺人に準えて、文学を追い求める陶酔に冒涜を感じる。奇想天外と評するのは最大の褒め言葉だろう。何の恨みがあってこんなの書いたんだろうね。シュールにいえば、あの小説が長すぎるから?ただの自己満足じゃないの?ただメタリカの楽曲とのマリアージュはバッチリでした。2019/01/11
アルクシ・ガイ
4
邦題がこれじゃなかったら手に取らなかった。さっさと読み終えて年賀状をかこうと、そればかり考えていました。やはり、さっさと年賀状を書き終えて続きを読みたいと思わせる本に多く出逢いたいものです。2018/12/28
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3
フランス現代文学のつまらなさ。『失われた時を求めて』の語り手を特定の徴に対して狂人的に反応するクモとして論じ、諸能力の非共可能的な働きと思考の必然的な発生を見出したドゥルーズの『プルーストとシーニュ』第3版の出版が1976年だというのに、まだこんな言葉遊びに淫したものが出てくるのか…2019/01/19
よだみな
2
原文を読めたらどんなにたのしいだろうと思える本でありました。ああ、ウリポ。2018/11/21