出版社内容情報
舞台は20世紀前半のアマゾンの中流地域「エルドラード」。文明化されているとはいえ、人々は神話が色濃く残る世界に生きている。アルミント・コルドヴィウは、急死した父親の事業を継ぐが労働することに意識は向かず、一夜をともにしたきり姿を消した、あるインディオの女を忘れることができずにいた……。現代のブラジル文学を代表する作家が描く、文明と神話的世界が交錯した愛の物語。
ミウトン・ハトゥン[ミウトンハトゥン]
著・文・その他
武田千香[タケダチカ]
翻訳
内容説明
アルミント・コルドヴィウは、急死した父親の事業を継ぐが労働することに意識は向かず、一夜をともにしたきり姿を消した、あるインディオの女を忘れることができずにいた…。現代のブラジル文学を代表する作家が描く、文明と神話的世界が交錯した愛の物語。
著者等紹介
ハトゥン,ミウトン[ハトゥン,ミウトン] [Hatoum,Milton]
1952年、アマゾナス州マナウスに生まれる。小説家。サンパウロ大学で建築学と都市工学を専攻。1970年にスペインに留学し、その後渡仏。パリ第三大学大学院修了。1984年から1999年までアマゾナス連邦大学にてフランス語・フランス文学を教授。1996年にはカリフォルニア大学バークレー校で教鞭をとる。著作の多くで文学賞ジャブチ賞を受けている
武田千香[タケダチカ]
神奈川県に生まれる。東京外国語大学大学院教授。専攻はブラジル文学・文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かふ
14
ブラジル(両親はレバノン系)の作家による「エルドラード(黄金郷)」モチーフにしたマジック・リアリズム。アマゾン川の底にユートピアがあり、インディオ系の娘が入水したのはそこに行ったからという神話を元に語られる悲話。父の愛人であるフロリッタからその話を聴いた息子アルミントは乳母であるフロリッタと関係を持ってしまう。母はアルミントを産んで死亡。父親はそんなアルミントと冷たい関係。このへんの近親相姦的なストーリーはフォークナー系でマルケスがいう「フォークナーの息子たち」という存在の作家の一人だろう2019/05/06
メセニ
12
外国文学の棚で目に止まった黄緑の背表紙に”ブラジル現代文学”の文字。すぐさま思い浮かぶものもなかったがこれも本との出会いかと手に取る。急死した父の事業を継ぐが、あることをきっかけに出会ったインディオの女が姿を消したことに気を病み、全てをダメにしてしまうどうしようもない男の話。というと乱暴だけど大体そんな話。けれどそこに土地の記憶やアマゾン土着の神話が混線して単なるダメ男の昔語りならないのは南米文学ゆえだろうか。失踪した女を求める過程で男は父親の異なる顔も発見するが、夢現つが交錯した先で彼は何を見たのか。2017/12/28




