フィクションのエル・ドラード
夜のみだらな鳥

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  • サイズ B6判/ページ数 576p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784801002678
  • NDC分類 963
  • Cコード C0397

内容説明

望まれない畸形児“ボーイ”の養育を託された名家の秘書ウンベルトは、宿痾の胃病で病み衰え、使用人たちが余生を過ごす修道院へと送られる。尼僧、老婆、そして孤児たちとともに暮しながら、ウンベルトは聾唖の“ムディート”の仮面をつけ、悪夢のような自身の伝記を語り始める…。延々と続く独白のなかで人格は崩壊し、自己と他者、現実と妄想、歴史と神話、論理と非論理の対立が混じり合う語りの奔流となる。『百年の孤独』と双璧をなすラテンアメリカ文学の最高傑作。

著者等紹介

ホセドノソ[ホセドノソ] [Donoso,Jos´e]
1924年、チリのサンティアゴのブルジョア家庭に生まれる。1945年から46年までパタゴニアを放浪した後、1949年からプリンストン大学で英米文学を研究。帰国後、教鞭を取る傍ら創作に従事し、1958年、長編小説『戴冠』で成功を収める。1964年にチリを出国した後、約十七年にわたって、メキシコ、アメリカ合衆国、ポルトガル、スペインの各地を転々としながら小説を書き続けた。1981年にピノチェト軍事政権下のチリに帰国、1990年には国民文学賞を受けた。1996年、サンティアゴにて没

鼓直[ツズミタダシ]
1930年、岡山に生まれる。東京外国語大学卒業。法政大学名誉教授。専攻、ラテンアメリカ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

77
傑作。読み終えた今も頭の中で文章が反響しているような、夢の中を彷徨っているような心地がしてならない。修道院の一人の男の語りが中心となって話は展開していくのだが、読んでいるうちにムディートなのかウンベルトなのか混然一体となり、さらには修道院の中の時間も過去と未来、現在が一体となり、読んでいて本当に夢の中悪夢の中を彷徨うよう。一方で「ボーイ」とその周囲に集められた人々とウンベルトの物語が絡んでくるのだが、これもまた時系列が一体となってくるので…。読んでいるうちに語りが夢と恍惚に誘う、独特の読書体験であった。2018/05/29

こばまり

57
読んだ読んだ、読み切った。ズブズブと終わらない悪夢のよう。ラテンアメリカ文学の恐ろしさよ。お婆さんはお爺さんより断然怖い。2018/05/16

ω

50
ほへへ〜〜ω 3ヶ月掛かったけど年内に何とか読了✨! 百年の孤独以上の読みにくさ!(褒) 600ページくらいあって分厚いんですが寝落ちし、何度顔面に落としたことか……。ラテンアメリカらしい中毒性ありますよ( ^ω^ ) 皆さん、よいお年を😸❤️2023/12/31

マリリン

46
元いた女中ブリヒダの死から始まるストーリーの語り手は作家ウンベルト≪ムディート≫か。つかみどころのない登場人物の変身。割れたステンドグラスの断片を見るような、いくつかの狂気的な舞踏の輪のような迷宮を彷徨うような不思議な作品。男と女・倒錯・正常と異常・老若・合体と融合...想像を絶する臓器移植の中の生、登場人物の実態すら曖昧な境界に存在するかのように感じた内容から、すべてが混濁した世界に美などある筈がないのに、読了後は情景が美しい残像を残した不思議な魔力と魅力と狂気を孕んだ作品。訳者の感性と技量が光る。2022/07/25

zirou1984

39
伝説の奇書が復刊ということで再読。話が進むほどに語り手も時系列も歪んでいく、悪夢のような世界と混沌とした語り口。前回も同じことを書いたが、畸形の赤子のために国中の畸形を集め迷宮屋敷と化したリンナコーダ、かつては屋敷の使用人だった老婆の群れが暮らすエンカルナシオン修道院、この二つの舞台はどちらも冥府そのものの禍々しさに満ちている。そして再読しても相変わらず出口の見えない、わたしがわたしであることの不確かさ。今も目を閉じれば穴という穴を塞がれた胎児、インブンチェの悲鳴が脳の奥でこだまする。2019/05/02

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