内容説明
近代国家における行政制度の原点といわれる「フランス行政法」。その頂点にいまも君臨する「フランス行政最高裁判所」に、世界でもっとも著名な人類学者が、さまざまな制約を乗り越え、奥深くまで潜り込む。
目次
序文
第1章 ボナパルトの影の中で
第2章 利用に最適なファイルの作り方
第3章 宮殿の本体
第4章 法の通り道
第5章 科学的対象物と法的客観性
第6章 法について話す?
著者等紹介
ラトゥール,ブルーノ[ラトゥール,ブルーノ] [Latour,Bruno]
1947年、フランス東部ボーヌに生まれる。哲学者・人類学者。現在、パリ政治学院(Sciences Po.)教授
堀口真司[ホリグチシンジ]
1978年、京都府に生まれる。神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。現在、神戸大学大学院経営学研究科准教授。専攻、会計社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
8
仏行政最高裁判所コンセイユ・デタを人類学調査する著者は、法の本質を定義でなく裁判官が事件を処理し判決を行う実践に見る。本書は、外国人追放や自治体のゴミ処理問題の審理や非公開の会議等を観察し、科学の本質と法のそれと比較して、法体系を裁判官を含む諸アクターのネットワークに置く。正解がある「教科書化された科学」と試行錯誤を続ける「作動中の科学」を区別する著者は、法律家の判断や実践が要請されるこの領域が常に作動中であり、制定法や判例を読めば理解できる「教科書化された」法体系はないと主張する(人間の外部にある法)。2024/06/28
Daimon
0
『虚構の近代』で批判の双対にあげたもう一つの領野ー社会的なものーの側にあたる著者として、本書を読んだので、第5章 科学的対象物と法的客観性が最も面白かった。客観性において、法は無対象的であるが、科学は無主体的である、という意味で用いられるにもかかわらず、科学においての決定は研究者の外部にある事物=裁判官に委任するという意味で密かに法的な特徴を密輸入する。だが、法は明らかに、対象物なしに決定し、人間を服従させている。「そう、法は事実、人間の外側にある」(pp. 366)。社会構築主義ではない、構築的なもの。2017/08/12
中村蓮
0
科学の人類学に比べるとパッとしない印象。2019/08/15