内容説明
フランス舌領下のアルジェリア、カビリー地方で農民の子として生まれたメンラド・フルルは、貧しいながらも勉学に励み、努力して教師となる…子供時代の極貧、田舎の生活風景、家族への思いなどをふり返りながら、みずからの属する社会を自負をもって描きだす、現代アルジェリア文学の古典。
著者等紹介
フェラウン,ムルド[フェラウン,ムルド] [Feraoun,Mouloud]
1913年、フランス植民地下のアルジェリアに生まれる。アルジェの師範学校を卒業後、小学校教員となる。教員生活のかたわら作家として活動。1962年3月、アルジェリアが独立する直前に暗殺される。小説に『貧者の息子』(1950年、アルジェ市文学大賞)、『大地と血』(1953年、ポピュリスト賞)がある
青柳悦子[アオヤギエツコ]
1958年、東京に生まれる。筑波大学大学院人文社会科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在、筑波大学人文社会系教授。専攻、フランス系文学理論、小説言語論、北アフリカ文学。主な著書に、『デリダで読む『千夜一夜』』(2009年、新曜社)。主な訳書に、マリナ・ヤゲーロ『言葉の国のアリス』(1997年、夏目書房、渋沢・クローデル賞特別賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆかっぴ
5
アルジェリアのカビリーという地に生まれ育ったメンラドの物語。生活、習慣、考え方など興味深く読みました。自分の一族を大切にする生き方や、愛情、怒り、嘆きなどを率直に表す人々が生き生きとしています。フランスとの関わり、戦争の影響なども少しわかったような気がします。2017/09/30
Risa Shimowada
4
面白かった。アルジェリアで貧しく暮らすカリビー人の話で貧困生活の中でも様々な出来事が起こり生きていて、遠く異国の地の生活を珍しく感じたり人間の営みの共通点を感じたり。外人の自分としては遠い人々が頑張っててふーん面白いという読み方だったがシニカルな記述もあるので同国人はどう読むのだろうかと思ったが訳者あとがきで青年の成長譚的に受け入れられてるとあり納得。3部の戦争話は要らんなと思ったがメジャーな版では削られているそうでそれも納得。翻訳もプロの仕事で過不足なく良かった。ドライイチジクが食べたくなって買ったw2021/10/29
法水
4
現代アルジェリア文学の始祖ムルド・フェラウンさんが1950年に発表した代表作。第一部はカビリー地方の小さな村の教師メンラドが貧しい子供時代を回想した手記の体裁。第二部では教師となるまでが描かれ、第二次世界大戦が勃発してからが第三部。いくつかのエピソードの中でも、「最良の思い出」でもある2人の叔母ハルティとナナとの交流と突然の別れが印象的。あと、メンラドが結婚し、妻を愛するがために「心を独り占めするのか」と家族から総スカンを喰らうというのが少々理解できなかった。2017/02/15
うさぎさん
2
最初はなかなか読み進められなかったが、100ページあたりからすいすい読めた。 周縁の人々にとっての戦争、民族的土着的なものがフランスと混ざっていく少しずつ円環の様が変わっていく有機体、不思議に安心する物語だった。2017/02/24
みみこ
0
夫には義母の味方でなく自分の味方でいてほしいけど、息子には嫁ではなく自分の味方でいてほしいのはどこも同じなのかと思った。貧しさから抜け出すには賢さが必要というのは世界どこでも同じで。日本は豊かと言ってしまっていいものか。2024/05/27
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