出版社内容情報
起源への転落、再生へのエセー
馬が嘶き、手綱は千切れ、地面にたたきつけられる。生死の境をさまよった末、血だまりのなかで息を吹き返した人間がみた世界――人馬一体の命運を転覆させ、戦争/平和、動物/人間、言語/イメージ、社会/自由の根幹を問い、起源を生き直すための忘我=脱自(エクスターズ)!
パスカル・キニャール[パスカルキニャール]
原著
小川美登里[オガワミドリ]
翻訳
内容説明
馬が嘶き、手綱は千切れ、地面に叩きつけられる。生死の境をさまよった末、血だまりのなかで息を吹き返した人間がみた世界―人馬一体の命運を転覆させ、戦争/平和、動物/人間、言語/イメージ、社会/自由の根幹を問い、起源を生き直すための忘我=脱自!
著者等紹介
小川美登里[オガワミドリ]
1967年、岐阜県に生まれる。筑波大学人文社会系准教授(専攻、フランス現代文学)。ジェンダー、音楽、絵画、文学などにも関心をもつ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
112
落馬する英雄、馬上での弓なりの姿勢、性交時の姿勢、喰われるヒト、戦争。それらが、ギリシャ、ローマから革命時、近年まで、細切れに語られる。複数回言及されるアグリッパ、ランスロット、カラバッジョやフロイト、ギリシャの哲学者。思索の集合 11.落馬しない英雄。馬上のアルケサスは、トラキア人に馬の下の大地から槍を指し貫かれ、最初のケンタウロスの姿となった 36. セユスが所有した馬に乗った英雄達は死に、マルグリット・ド・ヴァロワと抱擁した男達も死に、彼女はセユスの馬と呼ばれた。後に米国ではファム・ファタルと。2018/07/21
いやしの本棚
12
いま大事なのは、集団的なものに流されず、独りでいることなんじゃないか…などとぼんやり考えながら手にとった一冊。とても興味深く読んだ。落馬する人、落下して起き上がった人というのが、鬱病を経た著者自身をも含んでいたと解説で知った。印象にのこったのは、『自発的隷従論』を著したラ・ボエシーの引用。「権力を揺るがせなさい、とさえ私はあなたがたに言いません。ただ権力を支持しないでほしい、とだけお願いしているのです」あとキリストの「裁いてはいけない」という言葉の解釈もとても面白かったのだけど、まだ消化できてない! 2020/05/06