出版社内容情報
一面に広がる鳥の屍体を踏み分けて入水する美女,人間をセメント詰めにする男,大男の初恋を馬鹿にする小人……奇々怪々な登場人物たちが織りなす,白昼夢の世界。
人間の邪悪さと卑小さ,哀しみと悪徳を〈人間〉への絶望と愛によって,そして辛辣な皮肉とユーモアをこめて描き出す,ゴンクール賞を二度受賞した,謎多き作家の16篇の物語。
須藤哲生[スドウテツオ]
著・文・その他
内容説明
一面に広がる鳥の屍体を踏み分けて入水する美女、人間をセメント詰めにする男、大男の初恋を馬鹿にする小人…奇々怪々な登場人物たちが織りなす、白昼夢の世界。人間の邪悪さと卑小さ、哀しみと悪徳を“人間”への絶望と愛によって、そして辛辣な皮肉とユーモアをこめて描き出す、ゴンクール賞を二度受賞した、謎多き作家の16篇の物語。
著者等紹介
ギャリ,ロマン[ギャリ,ロマン] [Gary,Romain]
1914年5月8日、ロシア帝国領ヴィリナ(現・リトアニア共和国の首都ヴィルニュス)に生まれる。小説家、映画監督、外交官。1980年12月2日、パリにてピストル自殺
須藤哲生[スドウテツオ]
1932年、東京・京橋に生まれる。東京大学文学部仏文科卒業、同大学院仏語・仏文学修士課程修了。明治学院大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かんやん
20
岩波文庫のアンソロジーで「ペルーの鳥」を読んで以来、ずっと気になっていたこの作家、まさか今年になって二冊新刊が出るとは。やはり表題作が桁違いに良かった。ペルーの海岸を埋め尽くす鳥の死体、酔い潰れた男たち、波をかき分け海に向かう女を救う、すべてに幻滅した男、終局へ向けてピタリピタリと言葉が決まってゆく、痺れるような傑作だと、改めて思った。他は、意外と軽いタッチの風刺的な作品も多かった。フランス的なエスプリをきかせたコントは時代を感じさせるが嫌いじゃない。「地球の住人たち」「世界最古の物語」がお気に入り。2017/08/19
ふるい
9
とても面白かった!16篇どれも素晴らしい。「歴史の一ページ」「世界最古の物語」など人間の邪悪さが浮き彫りにされている作品から、「鳩市民」「われらの輝かしき〜」などユーモラスな作品まで、意外にも(?)幅広い作風に驚かされた。個人的ベストは「贋作」。2017/06/14
ハルバル
8
読んでいると何度か「人間はまだ存在していない」、「人間はまだ人間以前のもの」という言葉が出てきて、その悲観的な人間観に打ちのめされそうになるんだけど、シニカルなユーモアのおかげか絶望に届かない一歩手前で踏みとどまれているような気がする。タイトルもまた洒落のめしていて、これは皮肉なのか?(あれを「世界最古の物語」とは…)「地球の住人たち」の散々痛めつけられて盲目となった少女がまたも踏みにじられて言う最後の言葉、「いつも最悪のことを想像しては駄目よ」…これこそがかすかだが希望といえるものかもしれない。2018/02/16
miaou_u
7
人間は人間の姿を形成しているが、未だ人間に到達出来ていない。そんな深いペシミズムに沈んだ、様々な顔が描かれた短編集だ。緩徐に不穏な暗雲に侵食され、深淵に引き摺り込む。(特に最初の三編は)一編読む毎に、口に当てた手を離すのも忘れて、暫しその深淵の憂鬱の底に漂う。ギャリが、海に終の安らぎを求めるのは、表題作からも読み取れる。ギャリの年譜が巻末に記載されており、積読中の『夜明けの約束』が自伝的小説である為、照合して読むといいかもしれない。2018/02/26
刳森伸一
6
幻想的なものからブラックユーモア的なものまで幅広い作品集。いずれも濃厚で唸らされる。暗い話が多いが、絶望には至らない。2017/10/26
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