内容説明
恋を夢見、ともに少女時代を過ごした修道院を去ることとなったルイーズとルネ。恋愛と政略という、互いの対照的な結婚生活を手紙で綴る、書簡体小説の名作!表題作ほか、堅物の夫人に誤って届けられた恋文をめぐる騒動を描く「女性研究」の二編。
著者等紹介
加藤尚宏[カトウナオヒロ]
1935年、東京に生まれる。2015年、東京で没する。早稲田大学卒業、同大学大学院博士課程修了。早稲田大学名誉教授。専攻、フランス文学
芳川泰久[ヨシカワヤスヒサ]
1951年、埼玉県に生まれる。早稲田大学卒業、同大学大学院後期博士課程修了。現在、早稲田大学文学学術院教授。専攻、フランス文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
122
表題作『二人の若妻の手紙』修道院から出たばかりの二人の貴族の娘はそれぞれの家に帰る。パリと南仏。二人の手紙のやりとりの既視感は、解説で気付く。確かに『新エロイーズ』。彼女たちは程なく結婚し、その後も行き来をし、友情は続く。最後の最後の辛口はバルザックの意地悪が入っているように思うも、彼女たちの運命はそれなりに納得いくものではなかったか。安心して本を閉じられる。『女性研究』このシニカルな10ページは、短いだけに過不足がなく秀逸。プレイボーイ諸君、恋文を書く時は留意なさいませ。2018/02/12
NAO
51
「二人の若妻の手記」『クラリッサ』と『新エロイーズ』に対抗してバルザックが書いた書簡体恋愛小説。名家であっても財産がないため修道院に入れられ、一生修道院暮らしと諦めていた二人の娘が、一人は貴族とのつながりがほしい近在のブルジョアの息子から持参金なしの結婚を申し込まれ、一人は祖母が名指しで遺産を残してくれたため修道院を出た。愛のない政略結婚だったが夫を貴族にまでのし上げ二人の子どもに愛を注ぐルネは、当時の良い妻である女性の典型的な姿。対極にあるルイーズは愛を求めて思うままに生きる新しい女性の象徴といえる。2017/05/10
Mana
2
「舞踏会へ行こう(鹿島茂著)」の参考文献。舞踏会へ行こうからの流れで図書館で借りました。読み込むほどはいってないけど大体は読み終わった。まあまあ面白かったけど、期待値ほどではなかった。以前、新井潤美さんが紹介していたジェイン・オースティンの「愛と友情」の時もだったけど、話し上手な人が面白い部分だけを抜き取って紹介してるとどんなに面白いんだろうと期待値が凄く高まるから、実際に読んだ時に期待ほどではなくてがっかりしてしまう。今回だと勝手なイメージで短編くらいを想像していたので、三百頁超は冗長に感じてしまった。2018/02/26