内容説明
表題作を始め、愛と結婚によって狂わされていく女の悲劇を描いた「二重の家庭」「ソーの舞踏会」「捨てられた女」の四篇。
著者等紹介
私市保彦[キサイチヤスヒコ]
1933年、東京に生まれる。東京大学卒業、同大学大学院修士課程修了。武蔵大学名誉教授。専攻、フランス文学
加藤尚宏[カトウナオヒロ]
1935年、東京に生まれる。早稲田大学卒業、同大学大学院博士課程修了。早稲田大学名誉教授。専攻、フランス文学
澤田肇[サワダハジメ]
1952年、北海道に生まれる。上智大学卒業、パリ第三新ソルボンヌ大学大学院博士課程修了(文学博士)。現在、上智大学文学部教授。専攻、フランス文学
博多かおる[ハカタカオル]
1970年、東京に生まれる。東京大学卒業、同大学大学院およびパリ第七大学博士課程修了。現在、東京外国語大学大学院准教授。専攻、フランス文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
100
バルザックを読んでいると、そのストーリー展開に感心し、時折挟まれる人生訓のようなものになるほどそういうものかと読んできた。しかし、ここに来て、待てよと思う。非常に男性目線だ。 女性に対して徳を説くのはいいが、男性は? 『二重の生活』なんて、イエスを愛し夫も同時に愛すなんて無理だと愛人との家庭も持った男が妻に言う。どの話においても、女性は愛されるべき存在であらねばならないようだ。バルザックを読んだ時に感じた胸の悪さは、彼が貧困や社会の悪を描くからかと思っていたが、女性への見方だったのかもしれない。2018/02/04
NAO
71
『二重の家庭』自分の妻があまりにも冷淡だからと別の女性に愛を求め、二重生活を送っていたグランヴィル伯爵。彼にとっては満足な生活が、愛人のカロリーヌにとってもそうだったのかどうか。バルザックの身辺には、信心に凝り固まった女性にうんざりして愛人に不義の子どもを産ませた男性が何人かいたらしい。バルザックは、狂信的な妻に苦しめられた男性たちの姿をいやというほど見ていて、それをモデルにこの作品を書いたようだ。だが、何よりも愛を求めたグランヴィル伯爵を幸福にはしていないところに、バルザック流のひねりがある。2018/12/28
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