出版社内容情報
平穏と異変が重なり合う日々を生きる、本巻の二つの長篇に描かれた主人公とその妻のやりとりを読んでいると、記憶の底が撹てられ、折々の場面で交わした小島信夫との会話が甦ってくる。(中村邦生「解説」より)
著者生誕100年&没後10年記念出版!
小島信夫のすべての長篇小説を網羅するシリーズ、第9回配本。
アルコール中毒とその後遺症に苦しみ入院先を転々とする中年の息子、その介護の疲労から健忘症を患った再婚の妻。日に日に記憶を失いゆく妻と子を前に、老作家は何を思い、何を願うのか……。混沌を極める現代社会における家族と老いの問題を痛ましいながらも軽妙に描き、生の淵源を照らし出す。
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