出版社内容情報
『別れる理由』は、さしあたり「小説」と呼ばれている営み/試みの、ある「可能性の限界にあらわれる何か」である。小島信夫は甘えてなどいない。いや、たとえ「甘え」だとしても、それは別の「甘え」を、長い長い時間をかけて打ち負かしていくような「甘え」なのである。この意味で、この驚異的な大作は、今なお、いや今こそ読まれる価値がある。(佐々木敦「解説」より)
著者生誕100年&没後10年記念出版!
小島信夫のすべての長篇小説を網羅するシリーズ、第1回配本。
連載期間12年半、全4000枚。夫婦・親子・男女の愛の錯綜と混沌を凄絶なまでに描き尽くし、旧来の小説の方法を悉く破砕する伝説的問題作、著者随一の超大作にして日本文学史上に異彩を放ち続ける現代文学の極北。
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『別れる理由Ⅱ』で描かれるのは、異色のミュージカル的展開のもと、狂気の主人公=前田永造を銜えこむ奇々怪々な〈真夏の夜の夢〉。
喧々諤々の激論、性をめぐる怒濤の大演説、不義密通と乱交パーティ、いつ果てるともなく続くセックス。そんな中、永造は女に成り変わり、虫に成り下がり、ついには馬に成り上がる……。
いよいよ暴走をはじめる、日本文学史上屈指の問題作『別れる理由』の小説世界!
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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何か危ない薬を使用しながら書かれたとしか思えないぶっ飛び具合だがこの人の場合は天然なのだろうか尚更たちが悪い感じだ。何の脈絡もなく主人公である永造がアキレスの馬になったりする。2016/07/03
Tonex
2
以前単行本を読んだが面白くなかったので、前巻に引き続き今回も月報と解題・解説のみ読む。この小説は刊行当時から賛否両論だったらしい。確かにどう贔屓目に見ても失敗作としか思えない。しかし「失敗作」もそれを延々貫き通すと、ある瞬間に「問題作」に変化し、それなりに認めてくれる人が出てくる。そして百年くらいたったら、もしかしたら歴史に残る「名作」と言われているかもしれない。とにかく破綻ぶりが半端でない。こんなヘンテコな本が存在するのは出版界の奇跡としか言いようがない。2015/09/10
yoyogi kazuo
1
解説の佐々木敦の文章がもっぱら第三巻の内容についてのことに終始していて、第二巻の内容についてちっとも触れていないことでも分かる様に、この第二巻は途中から解説不可能、というよりまともに読む気にもならない悪夢のような文章が延々と続く。よくこんなものが連載できたものだと思う(誉め言葉です)。2021/06/22