内容説明
『全体性と無限』がもつ真の革新性を救い出す―これまで顧みられなかった理性論という観点から『全体性と無限』がもつ独自性に光をあて、主体論においてハイデガーと対峙し、いまなお影響力をもつデリダ的読解を糺す。“生きている”レヴィナス哲学を甦らせる変革の書。
目次
甦るレヴィナス
第1部 レヴィナスの現象学(『全体性と無限』の現象学的方法;レヴィナスの思想は「他者」論か―『全体性と無限』第一部の役割」;ブーバーとの対話)
第2部 ハイデガーとの対決―主体・存在・真理(主体性の擁護―ハイデガーによる「主体」批判の後で;存在と真理―存在だけしかないことがなぜ「悪い」のか)
第3部 デリダへの応答―『全体性と無限』の理性論(他人(autrui)と“他者”(l’Autre)―“他人”を「理解」すること
「自我への暴力」と「他者への暴力」―レヴィナスは「他者への暴力」を批判したのか
「第三者は他人の眼を通じて私を見つめる」―「第三者」とは誰か)
第4部 「現れざるものの現象学」とは別の仕方で(“他人”との対話と“他者”への愛;「転回」ではなく「深化」)
「レヴィナス的倫理学」の可能性
著者等紹介
小手川正二郎[コテガワショウジロウ]
1983年、東京生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程修了。博士(哲学)。現在、國學院大學文学部助教。専攻、フランス哲学、現象学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takuyak56
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博士論文らしい博士論文。明確な問いに沿って『全体性と無限』を主としてレヴィナスを読む。分析(言語)哲学、現代倫理学へとレヴィナスの議論が接続可能なのかというところに著者の問題意識は向いている。レヴィナス研究上の過去の誤解、誤解釈を批判・訂正することに議論が集中し、そこに読まれるレヴィナス像がやや簡略であるように思われるのはそうした著者の意図に起因するように思う(しかし、博士論文とはそういうものだ)。今後、著者が、レヴィナス研究のみにとどまらず、オリジナルな展開をなしうるであろうことを十分期待させる良著。2017/05/15
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