出版社内容情報
ここにあるのは、つんと済ました壺のような(ふりをした)小説ではない。これを読むと、小説というものが読者から自律した作品であるとはかぎらないということ、そして小説というものが読者に向けて、読者の目を見て、読者にも自分の目を見せて、堂々と発せられた言葉でありうるということがわかる。小説はコミュニケーションなのだ。なんて自由なんだ。(千野帽子「解説」より)
小島信夫のすべての短篇小説を網羅するシリーズ、第1回配本(1巻・8巻同時配本)。
家族とは、信仰とは、記憶とは、そして〈書くこと〉とは何なのか……?
大正、昭和、平成を生きた小説家の最晩年、創作と現実のあわいを揺蕩いながら綴られた、文学の新しい地平を指し示す異色の短篇群。
単行本未収録であった「ニンゲンの顔」「出雲の神々」「K・K氏の手ぶり」「庭の紅葉」をふくむ27篇を収める(1990〜2004)。
目次
それはハッピーなことですわ
羽衣
殺祖
ニンゲンの顔
自娯
鴛鴦
蓬萊
出雲の神々
聖骨
暮坂
天南星
路上
野晒
その一週間
「厳島詣」
K・K氏の手ぶり
備前兼光
夢
こよなく愛した
養老
庭の紅葉
ある話
すべて倒れんとする者
青ミドロ
ラヴ・レター
記憶
小さな講演のあと
解題 柿谷浩一
文学と〈うさんくさい〉ものとの間で 千野帽子
内容説明
第8巻には、著者最晩年、創作と現実のあわいを揺蕩いながら綴られた、文学の新境地を指し示す異色の短篇群を収録。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tonex
3
小島信夫の全短篇小説を網羅するシリーズの第8巻(最終巻)。ボケ老人が近況や思い出や空想を延々書き続けているような感じの最晩年の作品27作を収録。【収録作品】それはハッピーなことですわ、羽衣、殺祖、ニンゲンの顔、自娯、鴛鴦、蓬萊、出雲の神々、聖骨、暮坂、天南星、路上、野晒、その一週間、「厳島詣」、K・K氏の手ぶり、備前兼光、夢、こよなく愛した、養老、庭の紅葉、ある話、すべて倒れんとする者、青ミドロ、ラヴ・レター、記憶、小さな講演のあと(解題=柿谷浩一、解説「文学と〈うさんくさい〉ものとの間で」=千野帽子)2015/04/12