内容説明
１９世紀後半のフランスで活躍した詩人として知られ、またエジソンよりも先に蓄音機を考案したとされるシャルル・クロ。彼はさらに、色彩写真と呼ばれる技術開発の先駆者でもあった。詩、蓄音機、色彩写真…クロが繰り広げた探求を仔細に追いながら、彼のうちがわで詩と科学が交叉する地点を描き出す。現代メディア環境の源に埋もれた、知られざる想像力へ。
目次
序章 シャルル・クロ「詩人にして科学者」（シャルル・クロとは誰か；忘却の理由 ほか）
第１章 色彩写真（俗な写真／高尚な写真；色彩写真とはなにか ほか）
第２章 蓄音機（ひとつの「物語」；蓄音機の発明に至るまで ほか）
第３章 詩（詩人クロへと向かうために；詩人としてのシャルル・クロ ほか）
最終章 科学と文学の交わるところ―シャルル・クロの知覚論（クロの知覚論構想；知覚論構想の位置づけ ほか）
著者等紹介
福田裕大［フクダユウダイ］
１９７９年、大阪府に生まれる。京都大学大学院博士後期課程修了。京都大学博士（人間・環境学）。現在、京都精華大学ほか講師。専攻、フランス近代文学、メディア史（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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ラウリスタ～
8
シャルル・クロというフランス文学界においても無名の詩人、科学者に関する研究書。前半は科学者としてのクロに光を当てる、というか脱神話化する。日本ではどっかのだれかが「飛行機の父」であるとされているように、フランスでは蓄音機の発明者はエジソンではなく、クロだと大真面目に言われるそうだ。エジソンに付随する神話としてのみ語られたクロの研究の実相を暴く。なあんだ、科学者じゃなくて理論を考えただけじゃないか、ってなったところで、実は蓄音機と、色彩写真との研究が不即不離のものであったことが判明。そして後半は詩人クロ。2014/07/08
