内容説明
日本人の心のふるさとを知るための書。全文をとことん読みやすくした101分で読める本。
目次
第1章 茶碗に込めた人間力
第2章 茶の流派
第3章 道教と禅
第4章 茶室
第5章 芸術の鑑賞
第6章 花
第7章 茶人たち
著者等紹介
岡倉天心[オカクラテンシン]
1862‐1913年。美術指導者、思想家。文久2年横浜生まれ。本名、覚三。フェノロサに師事し、日本美術の復興に尽力した。明治19年に渡欧。23年東京美術学校を創設し、校長として多くの画家を育てた。美術学校騒動で下野したのち、横山大観、下村観山らと日本美術院を創立。新日本画運動を推進。37年より、ボストン美術館東洋部長を務めた
夏川賀央[ナツカワガオ]
昭和43年、東京都に生まれる。早稲田大学第一文学部卒。大手出版社など数社を経て独立。会社経営のかたわら、ビジネス書を中心に幅広い分野で執筆活動を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
5 よういち
75
1906年、アメリカで出版された岡倉天心の『THE BOOK OF TEA』を現代語訳で著した本◆私は茶道など嗜んだことなど一度もないのだが、興味深く読めた。茶道の歴史や、まつわる数々のエピソード。そして、しきたりや文化は現代の日本人の心の中にも根付いている。日本人の謙虚さはその代表だ。◆明治時代、東洋である日本の文化の素晴らしさを西洋に伝えるべき象徴として選んだのが『茶道』だった。◆茶道は至上の美を追求する宗教/茶室は平和の家。武士も刀を持っては入れない/利休や織部によって茶と華の組み合わせが試みられた2018/12/05
アキ
74
1906年出版された岡倉天心『THE BOOK OF TEA』の翻訳本。できるだけわかりやすく原文を忠実に訳しているシリーズの本。確かに101分以内に読み終えることができます。しかし内容は深く、とてもとても読み終えて理解したとは言えない。茶道は武士道と違い「生の技術」。私たち日本人の住居や習慣、服装や食事。陶磁器に漆器に絵画。そして文学までもすべてが茶道の影響を受けている。そしてその精神は道教と禅が具現化したもの。岡倉天心が言うように「翻訳というのは、つねに一つの裏切り行為」。いつか原文を読んでみよう。2019/09/22
ROCKDOWN
11
時代の変遷によってお茶の飲み方が団茶→抹茶→煎茶と変わったのは面白い。日本人は中国で生まれたお茶を取り入れ、その勤勉で清貧な国民性によって「茶道」として確立させた。動作は簡略化され、華美なものや、重複や無駄は排除された。静寂の中にこそ価値があるとされる。 同じ日本人の倫理道徳観である武士道が戦いや死を前提とした武士の行動規範であるのに対し、茶道は平和を追求する作法である。読んでいて日本人であることが誇らしくなった。武士道の方が有名だが、甲乙付け難く、どちらも素晴らしい。岡倉天心も紙幣になるべき。2022/07/18
帯長襷
4
読書会課題本。読みやすく書かれているが、ほんとにこんなに挑戦的なニュアンスなの?というのが疑わしく、結局原書に当たらないといけないな…その前に岩波だけど。茶のことはほとんどなく、本当に哲学書。見えないところにこそ美を見出せ、というのが、なかなか初学者にわかりにくいんだろうね、禅のものって。2021/06/05
k1nishi
4
明治時代に、西洋と東洋を対比したこの内容を書いた岡倉天心はすばらしい。道教と禅の部分は、自分の知識不足で理解するのが難しく残念。2015/08/04
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