出版社内容情報
維新の指導者たちは、神仏分離によってなにをめざしたのか。維新によって、日本人の宗教観はどう変わったのか。
内容説明
誰も書かなかった!日本宗教史上最大の転換点「神仏分離」の実態とその後。40以上の具体例でたどる!
目次
第1章 神仏習合から神仏分離へ(明治維新まで行われていた神仏習合とは?;神仏分離はすでに江戸時代に実施されていた? ほか)
第2章 寺院から分離して激変した神社(日吉大社―神仏分離・廃仏毀釈のトップバッター;大神神社―フェノロサが救った本地仏十一面観音像 ほか)
第3章 廃仏毀釈と古寺名刹の危機(興福寺―全僧侶が還俗して放棄された名門寺院;内山永久寺―跡形もなく消え去った巨大密教寺院 ほか)
第4章 神道化された修験霊場と権現信仰(金峯山寺―神社化されたものの寺に復した修験道のメッカ;出羽三山―聖地と修験者を強引に神道化 ほか)
第5章 国家神道への道(浦上四番崩れ―最後のキリシタン弾圧;白峯神宮の創祀―明治改元前夜の歴史秘話 ほか)
著者等紹介
古川順弘[フルカワノブヒロ]
1970年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。宗教・歴史分野をメインとする編集者・ライター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Arisaku_0225
11
今では,神社は神様を祀り,お寺では仏様を祀っているものだというものがアタリマエになっているが,それは明治維新(ときとしてはそれ以前)で形作られた「人工的」なものである.本書は明治期に,数々の名の知れた神社仏閣で巻き起こった「明治維新」を神社仏閣ごと「ミクロ」な点でみている.その「神と仏の明治維新」は地方官や抑圧された当事者によって急ピッチに行われたもので,貴重な文化財を散逸させ,伝統と文化を失いかねない危うい運動であった.2024/04/23
nao
6
今から150年前、大きく日本を変えることとなった明治維新。その政策として行われた神仏分離を具体例を挙げながら説明していく。 神仏習合が神道と仏教が対等ではなく、神は仏になる途中であるという考えに基づいていたことには驚き。 廃仏毀釈は政府の意図することではなかったと記されていたが、それはリスクとしてイメージ出来ていないといけなかったのではないか。 対立しているものをどちらかに傾けようとするとき、傾ける側にも気をつけていないと、過度な弾圧が起こってしまうことを学んだ。2018/11/20
クサバナリスト
4
廃仏毀釈令のようなものが、発令されていると思っていたがそのものズバリのものはなかったことを知った。2018/11/22
Se_Quim
0
日本には最初に八百万の神がおり、時代が下って外国の神である仏が伝来した。仏教伝来の経緯と、現今の神社と寺院の厳然とした区別の在り方によって、日本では昔から神と仏はすみ分けられてきた、と解釈していました。こうした目で京都の神宮寺などを見ると、異様な光景に映るのですが、むしろ現今の神社と寺が厳然と区別されているあり方の方が、歴史的には特殊な姿であることが理解できます。明治政府の神仏分離令から、民間に起こった廃仏毀釈の運動。それによって、文化財や興福寺のように寺そのものまで失われた悲しい過去がまとめられています2019/06/13
ひろP
0
仏教伝来と蘇我、物部の崇拝仏論争から聖徳太子をへて聖武天皇の鎮護国家以来 続く日本の神仏習合、本地仏とその権現としての垂迹神として混淆してきた日本 の仏教と神道が明治維新の神仏分離を契機に今の状態となった経緯を簡単に紹介 した本。王政復古の際、明治天皇は、神武天皇の時代に行われていたとされる祭 政一致の体制に回帰することを宣した。そしてその実現のために、翌年から神仏 分離令が出され、それまで神社を支配していた神宮寺が撤廃また住職が還俗を強 要され神官となっていく流れ