出版社内容情報
「国衆」とは、戦国時代に一定の領域(おおむね一郡~数郡程度)を支配した領主のことで、現代の学術用語では「戦国領主」「地域領主」ともいわれる。本書では、大河ドラマが割愛する井伊氏を取り囲む遠江国内の中小領主の存亡を賭けた苦悩を、現場の領主たちの視点で描く「遠江の戦国史」である。
内容説明
戦国大名の領国には、地元に基盤をもつ「地域領主」=国衆たちが多く存在し、大名は国衆たちの存立を保障することが求められた。国衆たちは、複数の戦国大名の間で利害によって従属関係を変え、生き残りを賭けて戦った。
目次
戦国時代の遠江と国衆
第1部 今川氏に従う国衆たち(駿河今川氏の遠江進出;今川領国の内乱;戦国大名今川氏と遠江国衆;「遠州〓(そう)劇」―今川領国の崩壊へ
「井伊谷徳政」と井伊直虎)
第2部 武田氏・徳川氏の争いの狭間で(武田氏・徳川氏の遠江侵攻;遠江・奥三河の「元亀争乱」;「境目」の争乱と長篠合戦;徳川氏の遠江制圧;その後の遠江国衆たち)
著者等紹介
鈴木将典[スズキマサノリ]
1976年東京生まれ。駒澤大学大学院人文科学研究科歴史学専攻博士後期課程修了。博士(歴史学)。現在、江東区芭蕉記念館学芸員・戦国史研究会委員。元駒澤大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スー
15
68今川・徳川・武田が力比べをする遠江の国衆の生存術を見ながら国衆という存在を理解していく感じでした。国衆は大名より規模が小さく実力では生きて生けずひとつの大名や複数の大名に服属したり繋がりを持つ事で家を保つ勢力だという事がわかりましたが、ある国衆の持つ土地が重要拠点の場合は転封する事があるようでこうなると普通の家臣との見分けが難しく感じました。岩村城に嫁いだ信長の叔母おつやの方は武田に攻められ援軍が来ないので秋山虎繁と再婚したと思ってましたがどうやら武田と織田で進退に迷う岩村城を業を煮やした信長が攻め2022/08/16
YONDA
11
遠江の国衆が、今川・武田・徳川の三大名の争いの中でいかに生きてきたかが良くわかります。特に境目の国衆達はどこにつくかで存続の危機に陥るわけで、その苦悩足るや大変なものだったでしょう。秀吉による天下一統によって国衆の存在が消滅し、徳川幕府下で大名(小名)になった者、旗本になった者、他の大名の家臣となった者など、家の名を後世に残す事ができれば幸せだったのかも…。ページ数は少ないが、勉強になる本でした。2017/05/02
getsuki
10
去年の大河ドラマの影響か遠江国の国衆に絞ったところがかなりのマニアックさ(笑)今川氏の支配時代からその後までの動向をざっくりと学べる一冊。自分たちが生き残るためにどうすればいいか?必死に模索し続けた姿が浮き彫りとなっているのが興味深い。2018/06/02
kawasaki
4
今川(氏真)ファンなので、遠江国に焦点を絞った本書に興味。国衆たちの生き残りをかけた動向がより詳しく知れた。「境目」情勢は後世の者としては面白いが、当然ながら現場の当事者は必死、動乱を生き抜いた自家の存続と正統化を図る子孫も懸命。井伊直虎に一章を割いており、同時代史料から女性説は疑わしいとの詳しい解説。注目が向くことからの新資料発掘、国衆視点での物語の提示など、大河ドラマの影響がなお大きいことは喜ぶべきか。2017/09/29
金監禾重
3
遠江といえば、有名戦国大名がいない脇役的な土地、有名大名の舞台程度の認識だったが、十分な面白さ、人々の魅力的な活動を教えられた。著者は遠江の国衆、天野・奥山氏の研究者。こんな本が一般向けで出版されるのは大河ドラマ様様だ。なお、井伊直虎女性説はしっかり否定している。2019/02/11
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