内容説明
覚えてろよ!怪獣が出てメチャメチャにしちゃうからな!ぶっ壊しちゃうからな!子どもたちに向けて夢と希望とともに死と現実を突きつけた70年代特撮ドラマの一群。その目的は何だったのか?巻末に作家・福井晴敏とのロング対談を収録。
目次
本書のねらい―怪獣と共に“子ども”を再発見する
1 昭和ガメラと“子どもの王国”悪魔の虹の向こうに―証言 高橋二三
2 「かえせ!太陽を!」公害は最後の怪獣を生んだ―証言 坂野義光
3 ウルトラ兄弟の血の絆、そして怪獣に親を殺された子どもの物語―証言 田口成光
4 怪獣は“有害メディア”か学年誌の果たした役割―証言 上野明雄
5 異常なことはいいことだ「未来の悲劇」を乗り越えるために―証言 山際永三
6 殉教者ウルトラマン―証言 真船禎
7 永遠の「いま」を刻み続けるウルトラ絶対時間―証言 飯島敏宏
8 現実は嫌い、子どもでいたい伝説の子役時代をきく―証言 高野浩幸
巻末対談 あの人たちは“永遠”を手に入れたウルトラマンという父性(福井敏晴(作家)×切通理作)
著者等紹介
切通理作[キリドオシリサク]
1964年東京都生まれ。文化批評。和光大学卒。編集者を経て1993年『怪獣使いと少年ウルトラマンの作家たち』(宝島社)を著わす。また映画作家研究として『宮崎駿の“世界”』(ちくま新書/のちに増補し文庫化)でサントリー学芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bugsy Malone
64
1960年代後半から1970年代へ、怪獣特撮も世相を反映しドラマ設定や内容も様変わりして行く。そんな時代、作り手達が多くの制約を受けながら、ただ面白い物というだけでなく、その中で子供達に何を託したかったのか。子供の頃、第2期ウルトラシリーズ放映真っ只中にいた自分は、違和感を感じるものの意味が分からなかったりと、それらのメッセージを正確に受け止めてはいなかっただろう。しかし確実に何かを残された事は確かだ。その何かの一片を教えてくれる珠玉の一冊。巻末の福井晴敏さんのウルトラの解釈には笑ってしまった。2017/06/19
keroppi
29
私はウルトラマン第1期世代なので、この頃になると、ウルトラマンから離れつつあった。それでも横目で見ていて、「A」の男女か合体してウルトラマンになるのを見てドキドキしたりしていた。時代と共に生きるウルトラマンだから、今でも愛されるのだろう。2017/08/10
qoop
7
マーチャンダイジングの本格化により明確に主ターゲットを幼年層に絞り込んだ70年代の怪獣ドラマは〈子ども〉をどう描き、何を伝えようとしたか。〈子ども〉を喜ばせる工夫が上滑りすれば〈子どもだまし〉だが、当たればしこりとなって後々まで〈子ども〉の中に残り続ける。本書はそのしこりを丁寧に解き明かす。親の年代になって初めて見えてきた指摘もあったが、それを〈子ども〉の頃に気づけなかった自分はいい視聴者ではなかったのか、それとも製作者は〈子ども〉に寄り添えていたのか。作劇に関して双方向から考えさせられる良書。2017/01/25
TERRY
3
ウルトラマン、ゴジラ、ガメラそれぞれの研究本は昔からありましたが、同時代のそれらを並列に並べて、さらに雑誌編集者の話を加えることでその時代を浮かび上がらせる筆者の技量に驚嘆。自分の少年時代を総括したいという、極めて個人的な思いがそれを実現させているのが面白い。田口さんの話が良かったです。私もウルトラマン卒業できたかな。2017/03/18
かみーゆ
3
70年代のカルチャー史本として読んでも十分面白いけど、やっぱりウルトラの話が引き込まれるなあ。オトナが言いたいことを脚本に無造作に投げ込んでることによって生じる違和感を、子どももどっかで感じるからこそ、何かしらが引っかかって残ってくんですね、なるほどね。第二期のウルトラシリーズにおける小学館とのメディアミックスな展開の話とかも勉強になりました。2017/02/12
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