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南朝研究の最前線―ここまでわかった「建武政権」から後南朝まで

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  • サイズ 新書判/ページ数 335p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784800310071
  • NDC分類 210.45
  • Cコード C0221

内容説明

北条氏による権力独占が進んだ鎌倉幕府。後醍醐天皇は、北条氏に不満をもつ武士たちを糾合して幕府を滅ぼす。しかし、新たに発足した「建武政権」は武士を冷遇し、反発した足利尊氏らによって政権は崩壊、朝廷は南北に分裂する。建武政権には多くの旧幕府の官僚が参加し、後醍醐天皇は武士たちに積極的に恩賞を与えた。南朝の政策も時代に即したものだった。では、なぜ後醍醐の「異形」性や建武政権・南朝の非現実性が定説化したのか?その核心に迫る16論考。

目次

第1部 建武政権とは何だったのか(鎌倉時代後期の朝幕関係―朝廷は、後醍醐以前から改革に積極的だった!;建武政権の評価―「建武の新政」は、反動的なのか、進歩的なのか?;建武政権の官僚―建武政権を支えた旧幕府の武家官僚たち;後醍醐と尊氏の関係―足利尊氏は「建武政権」に不満だったのか?)
第2部 南朝に仕えた武将たち(北条氏と南朝―鎌倉幕府滅亡後も、戦いつづけた北条一族;新田氏と南朝―新田義貞は、足利尊氏と並ぶ「源家嫡流」だったのか?;北畠氏と南朝―北畠親房は、保守的な人物だったのか?;楠木氏と南朝―楠木正成は、本当に“異端の武士”だったのか?)
第3部 建武政権・南朝の政策と人材(建武政権・南朝の恩賞政策―建武政権と南朝は、武士に冷淡だったのか?;南朝に仕えた廷臣たち―文書行政からみた“南朝の忠臣”は誰か?;中世の宗教と王権―後醍醐は、本当に“異形”の天皇だったのか?)
第4部 南朝のその後(関東・奥羽情勢と南北朝内乱―鎌倉府と「南朝方」の対立関係は、本当にあったのか?;南朝と九州―「征西将軍府」は、独立王国を目指していたのか?;南北朝合一と、その後―「後南朝」の再興運動を利用した勢力とは?;平泉澄と史学研究―戦前の南北朝時代研究と皇国史観)

著者等紹介

呉座勇一[ゴザユウイチ]
1980年東京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得修了。博士(文学)。日本中世史専攻。現在、国際日本文化研究センター客員准教授。日本史史料研究会主任研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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さつき

42
建武の新政から南北朝の両統が並立した時代、南北朝の合一、その後の後南朝。合わせると150年にもなるそうです。後醍醐天皇というと新奇なことをした、すごく特異な天皇という印象がやはり強かったです。その政権のもと実際に実務にあたった武家官僚が鎌倉幕府から引き続いていた人が多かったこと。天皇の密教への傾きも父帝の信仰を受け継いだ面もあったこと。新田義貞の家が足利一門だということなど意外なことばかり。征西将軍府、後南朝についてはわからないことが多い分もっと知りたくなります。2017/05/08

浅香山三郎

13
若手(と言つても年齢は幅広い)の研究者による、南北朝時代の論点と研究状況の展望。書き手の批判対象が明確で、まさに「最前線」の研究(自説)を力説する人も居れば、スマートに研究史整理をして、現状と課題を紹介する人もいてスタンスは様々。どの論考も読ませるが、第二部・第三部の論考は特に面白い。第四部の論考も、実証レベルの研究成果が、より時代状況に即した出来事の評価を精緻にしてゐることを感じさせる。南朝の恩賞政策のあり方や、綸旨の奉者の比定、地方指揮官への行賞権付与と南朝への直奏禁止など、南朝なりのシステムが見へ2016/07/31

筑紫の國造

12
いや、これはなかなか面白かった。「天皇がふたり」という特異な時代の、それも敗者であり、研究が進んでいないと思われた南朝研究の最新の成果が分かりやすく紹介されている。一篇が20ページほどと短く、難しい言葉も使われていないので極めて読みやすい。個人的に面白かったのは建武政権の再評価。「武士を冷遇した」という従来の見解が見直されているのを初めて知った。「後南朝」に関する章もよかった。また、平泉澄について卒論を書いた人間としては彼について言及があるのが嬉しかった。やはり、平泉についてはもう一度調べてみたい。2018/01/24

keint

11
南朝に関して15の項目で最新の研究成果がまとめられている。すでに既知だったことも多かったが、後南朝や戦前の南朝研究と皇国史観についての論考もあるため、南朝を扱った書籍ではテーマに広がりがあると感じた。2020/03/18

mushoku2006

10
これは素晴らしい。 目からうろこが落ちまくる、15の論考。 (最後の方のはちょっとよくわからなかったが) 「はじめに」を読んだだけで、 もうびっくりすること請け合い、みたいな。(^^) 特に建武の新政について、 とんでもない政権がポンと現れて、すぐに退場、みたいなイメージで私もいたのですが、 全然違っていたんだなあ・・・・・・。 鎌倉幕府後期の政策などを引き継いで、 そして、今度は室町幕府へと引き継がれていったという、 極めて普通の流れがあったとは。2016/08/19

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