内容説明
太平洋戦争での玉砕戦は、その大半は戦略の失敗による特異な戦術様態だったにもかかわらず、「玉砕」という言葉は負のイメージを払拭し、雄々しく散っていった勇士の姿を浮かび上がらせ、作戦の立案者や指揮官の失敗を覆い隠し、軍首脳にとってはまことに都合のよい言葉になった。そしてまもなく、「玉砕」は全滅の代替え語になっていく―。天皇陛下のご訪問が決定したパラオをはじめ、中部太平洋の島々で行われた特異な戦闘の実態―終戦70年目にたどる、知られざる戦場の記憶。
目次
序章 玉砕戦への道
第1章 タラワ島・マキン島、クェゼリン島―米軍の本格抗戦との戦い
第2章 サイパン島、テニアン島―「絶対国防圏」最前線の戦い
第3章 グアム島―緒戦で玉砕した島での戦い
第4章 ペリリュー島―34人の終わらなかった戦い
第5章 硫黄島―はじめから全滅を強いられた戦い
終章 沖縄戦と本土決戦準備―「一億玉砕」への帰結
著者等紹介
平塚柾緒[ヒラツカマサオ]
1937年、茨城県生まれ。取材・執筆・編集グループである太平洋戦争研究会、近現代フォトライブラリー主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃんみー
48
表紙の写真はとても綺麗なパラオの海。そしてそこに眠る零戦の残骸。70年前に繰り広げられた大戦。日本の兵隊さんは敗戦の一途を辿る中、玉砕せざるを得なかった。内容は他の書にも載っていることが殆どだったが、サイパン、グアム、ペリリュー、硫黄島そして沖縄の島々での戦いをピックアップして記されていた。これほど綺麗な海を擁する島々で殺し合いをしていたことが今となっては想像し難い。2015/09/09
ピロ
21
【夏を感じる本】去年の今頃から積読してた本をお盆休み中から読み始めて。『日本人として、そこでなにがあったのか知らなければならない。』。2016#312016/08/28
里のフクロウ
3
なぜ今この本なのか?敗戦70年の今年、すでに世代は3代に替わってきている今、どのような意味があるのだろうか。凄惨な戦闘の中を生き残ったわずかな人々の証言を主体にして構成された本書は今を生きる私にも強烈なインパクトを与えるものであった。そして何よりもこの壮絶さから、後世に生きる者として、この事実からくみ取るべき深遠なものを探る衝動に駆られた。単に戦争反対だけでは済まない、もっと深遠なものがあり、それをくみ取らねばと。私は深い業を感じた。国を挙げての業である。そのことを忘れてはならないと心に刻みつけた。2015/07/21
MICKE
3
玉砕の島々。やればやられる。やらなければやられる。どっちみちやられるなら、やるか、やらないか。2015/05/01
ライト
2
戦後70年の夏に読めて良かった。この時代の日本に生まれていたら、僕も玉砕していた1人になっていたと思う。戦死者数が多すぎて想像できなかったので、社員数や市民数などに置き換えてみると、悲惨さが増しました。2015/08/12