内容説明
笑いを誘う性的表現、世界に類をみない江戸人の自由闊達な「奇想」の精神。視る者を驚嘆させる春画の本質を解き明かした注目の書。
目次
序 春画の本流としての奇想
1 女性器に吸い付く蛸の口―北斎画「蛸と海女」の前後
2 狐、馬、牛との交合―獣交婚の快楽
3 天狗、鬼、天女との交合―異界人との快楽
4 妖怪との交合―百鬼夜行と『百慕々語』
5 幽霊との交合―『解体新書』と骸骨・髑髏
6 両門攻めに挑戦―一穴二根の快楽
7 壁破り、障子破りに挑戦―男根貫入の快楽
8 巨大な性器との交合に挑戦―大人国の玉門
9 顔と性器の強調―奇想の体位・超絶技法
著者等紹介
白倉敬彦[シラクラヨシヒコ]
1940年北海道生まれ。早稲田大学文学部中退。長年、独立した編集者として現代美術から浮世絵にいたる美術書を編集。我が国屈指の浮世絵・春画研究者でもある。現在、国際浮世絵学会常任理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
30
【閲覧注意】変わった春画をジャンルごとに分けて紹介しているが、これがまた凄い。蛸と海女から始まるのだが、それに続き狐、犬といった獣姦。馬、牛はともかく蝙蝠とか猫はどうなのよ。続いて天狗や鬼、妖怪や幽霊との絡み。妖怪の顔や名が一見の価値があるようなものばかり。そこから趣を変え、多人数や壁、障子破り。前都知事とは違い、壁や松の木まで貫通しておりました。で巨人を経て体位の紹介で終わるが、この体位がまた現実では実現不可能なものばかり。読んでいて江戸人の想像力に感服するとともに、実に楽しい時間を過ごさせてもらった。2012/12/04
sawa
9
★★★★★ お堅いタイトルだけど、全然難しいことなく、さくさく読めて、白黒だけど図版も豊富で超楽しい。春画と言えば、誇張された性器、不自然な体位というイメージだけど、ここで紹介されてるのは特にすごい物ばかり。蛸と絡む女、動物との交合、天狗、妖怪、幽霊との交合、一穴二根、男根障子破り、巨大性器など、よくもまあこんな事思いついたな!と目玉が飛び出るびっくり春画。性でこんなに遊べるなんて、江戸の人達って何て大らかなんだろう。あっけらかんとして爽やかだけど、エロが苦手な人は手に取らない方がいいと思う。(図)2013/03/17