出版社内容情報
何のために勉強しているのか。かつて受験勉強に意味を見出せず、浪人していた著者の考え方を変えたのは、人間の本質を問う東京大学の「現国」入試問題の良問群だった。実社会において真に必要な能力は「国語能力」である――東京大学の入学試験問題をテキストに、生きていくうえで必要な共通理解と本質を読み取る力を養う。
内容説明
社会人にとってもっとも必要なスキルは「現国能力」である。文脈力、対話力、言い換え力―「東大現代文」入試問題で人生と仕事のスキルを養う!
目次
第1章 実社会で必要なのは「読む力」(「頭の良さ」を決める「現国能力」;「共通理解」を得る力 ほか)
第2章 東大の「現代文」は最高の良問(受験勉強での「現国軽視」はおかしい;「品性のある問題」とは何か ほか)
第3章 問題を解くヒント(「出題者」との対話とは;出題文に秘められたメッセージ ほか)
第4章 東京大学の「現代文」を読む(出題者と同じ地平に立つ―東大の「二〇〇字作文」;島崎藤村『飯倉だより』“樹木のことば”一九八一年度文理共通第二問―「焦りに焦る」人生への疑問 ほか)
著者等紹介
齋藤孝[サイトウタカシ]
1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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チャー
13
現代国語の入試問題を引用しその読解の重要性を伝える書。受験当時は思いもよらなかった入学試験問題の提出者側の意図について深く考えさせられた。そもそも問題の文章を限られた時間で適切に量を読み、その意図を理解し、考え方も含め自分の意見を表現することが問われているという指摘は今更ながらにそうだったのかと思う面も多い。国語の試験問題は、難解な文章の要旨を素早く掴み、学術的な取り組みに関わる意思疎通を速やかに行うために必要とされる能力を測るための指標。これくらいが理解できないとそのあとが続かないという指摘は深く納得。2022/07/31
templecity
8
東大入試の国語は、人物を見極めようとする。単に個人が金持ちになるといった気持ではなく、世の中のためになりたいといった志の高い人物を求めている。文書を読んで単に要約や意味を解釈するだけではなく、書かれていることを元に自分の考えをまとめる力が必要。そのためには広く深い経験が必要となる。会話でも具体的な話から共通認識をまとめ上げる力が入試のみならず社会で求められるのだ。 2019/08/05
葉
3
人間の本質を問う東京大学の「現国」入試問題の良問群という。現国は正直、塾に通ってもそれほど偏差値が上がらなかったので辞めた。実社会において真に必要な能力は「国語能力」というのは、交渉や会議などで国語能力が必要であり、論理的思考なども出世などに大きく関わってくる。ただ、今のはやりは哲学的思考ということをダイヤモンドで読んだことがある。東大の問題も後半に載っており、考え方などは参考になる。2019/06/27
あお
1
固定化していた自分の感覚が開かれ変化していく、これが読解の基本。出題者がどう読んでいるのか、何を分かってほしいのか、何を分かったかを知ろうとしているのか。問題文の著者、出題者、そして自分(解答者)の三者関係を意識したとき解答のスタートラインに立ったことになる。視点はすくい取るザル。経験の海から、視点=すくい取るザルを持って出題者と自分の経験世界をすくい取る。金子みすゞの詩から「声無きものの声を聞く」2019/11/19