出版社内容情報
平凡な専業主婦・清海。ある日清海は、追突事故をきっかけに、2016年の現在と極めて近似する、1986年の平行世界に飛ばされてしまった。この世界に存在しえない人間になってしまった清海は、孤独に苛まれつつも、バブルに沸く渋谷の街を歩き始める……。失踪したはずの叔父や、死別した若き日の夫、そして20歳のもう一人の自分との出会いを通して、自分の人生を振り返っていく清海。のほほんと生きてきた彼女は、一人でどうやってこの世界で生きていけるかを考え始める。果たして、清海は元の世界に戻ることができるのか?
内容説明
夫を病気で亡くした五十歳の専業主婦・清海は、満月の夜に遭遇した転落事故によって突然、三十年前のバブルに沸く一九八六年の渋谷にタイムスリップしてしまった。そこは清海のいた世界とよく似た別の渋谷。清海はそこで、失踪した叔父や、若き夫、さらには二十歳の自分と出会う。ある殺人事件の謎を解くことで、清海は元の世界に戻ろうとするが、思いもよらない真相が明らかになり…。
著者等紹介
沢木まひろ[サワキマヒロ]
1965年、東京都生まれ。青山学院大学文学部日本文学科卒業。2006年『But Beautiful』で第1回ダ・ヴィンチ文学賞優秀賞を受賞、2012年『最後の恋をあなたと』(宝島社)で第7回日本ラブストーリー大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のんちゃん
26
2016年、夫を病でなくした50歳の清海は満月の夜、転落事故に遭い、1986年の渋谷にタイムスリップしてしまう。そこは元の世界と近似だが微妙に違う場所だった。そこで清海は二十歳の自分や元の世界では失踪している親しかった叔父、二十歳の夫と一緒に働く事になる。そして、期せずして叔父の失踪の秘密を知る事になる。タイムスリップパラレルワールドもの。このジャンルはビターエンドならなおさら、また、一条の光が見える終わり方でも切なさが残る。昔の渋谷を私も一緒に懐かしめたが、人生は前に進む事が一番だ。当たり前だが。2019/06/21
ベローチェのひととき
17
主人公は50歳で夫を病気で亡くし、無気力で生きている状況だったが、ふとしたきっかけで30年前にタイムスリップしてしまう物語。1986年は自分も東京に出てきたばかりであり、とても懐かしく感じた。歳をとると人間まるくなり、いろいろ経験してきている分だけ味が出るなと思った。2019/06/28
紅羽
13
夫を亡くした50歳の主人公が、満月の夜に事故に遭い30年前にタイムスリップしてしまう。そこで出会ったのは失踪した叔父と亡くなった夫。あり得ない事ではありますが、戸惑いばかりの過去の世界で逞しく生きていく前向きな姿が素敵でした。後半、主人公がある殺人事件を知ってしまった事から悲しい真相が判明し、物語は一気にミステリ調へ転換。中々思いもよらない展開に驚きました。ラスト、主人公がどのような行動を起こしたのか気になりますが、想像にお任せという事なのでしょうか。2018/01/13
chi.
13
過去に遡ったのかと思いきや違う世界へタイムスリップした主人公。叔父さんのエピソードは悲しかった。大切な人が生きていた過去に行けたとしたら、私も何か少しでも助けられるような行動ができたらいいなと思った。2017/12/22
りちゃ
9
大人のタイムスリップもの。大抵、元の世界に戻るために。と、バタバタした感じになりがちだが、今作は妙に落ち着いている。よりよい未来のためにできること…精一杯生きること?2019/02/06
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- 和書
- 日本荘園絵図集成 〈下〉