出版社内容情報
現代の“宝くじ”の原形となった、根津・明昌院の千両富くじに沸く江戸の町で、呉服商の大店に盗人が入り込んだ。同心の伝三郎たちは、その鮮やかな手口から、十年前に八軒の蔵を破った伝説の盗人”疾風(はやて)の文蔵”の仕業に違いないと確信する。江戸と現代で二重生活を送る元OLの関口優佳=おゆうは、近所の長屋に住むおせいから、女と消えたという旦那探しを頼まれるなど、忙しい日々を送っている。そんなおゆうは、指紋採取やDNA鑑定など現代科学を駆使して、伝三郎が追う”蔵破り”の捜査に協力するが、事件は次第に複雑さを増してゆく――
内容説明
史上最高額―根津・明昌院の千両富くじに沸く江戸の町で、呉服商の大店に盗人が忍び込んだ。同心の伝三郎たちは、その鮮やかな手口から、七年前に八軒の蔵を破った神出鬼没の盗人“疾風の文蔵”の仕業に違いないと確信する。一方、江戸と現代で二重生活を送る元OLの関口優佳=おゆうは、長屋の奥さんから依頼された旦那探しと並行して、現代科学を駆使して伝三郎の捜査に協力するが…。
著者等紹介
山本巧次[ヤマモトコウジ]
1960年、和歌山県生まれ。中央大学法学部卒業。第13回『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉として、『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう』(宝島社)で2015年デビュー。現在は鉄道会社に勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
🐾Yoko Omoto🐾
157
シリーズ3作目。呉服商と骨董商の蔵破りで、八年前に世間を騒がせた"疾風の文蔵"一味の影が浮上。千両という異例の高配当富くじで世間を沸かせる和尚、ある鍵職人の失踪、一連の錠前破り、これらには一体どんなからくりが潜むのか。今回はいつもの科学捜査に加え、暗視スコープとスタンガンで大捕物に挑むおゆうが何とも勇ましい(笑)宇田川の懸念、伝三郎の本音、おゆうの祖母の江戸での生活など、相変わらずの小出し感に焦らされながらも、やはり目が離せない今後の展開。いつの世も大金が絡む事案には、相当黒い裏があるものなのだな…南無。2018/07/05
シナモン
139
シリーズ3冊目。今回も江戸と東京を行ったり来たりしながら科学捜査を用いて事件解決に挑むおゆう。文蔵の正体が出てこないな~と思ったらやっぱりそういうことだったか。事件自体の謎解きも楽しめた。江戸時代、春日部は粕壁だったんだ…最後にボロがでちゃったおゆう。今後の伝三郎との展開がますます楽しみ。2022/03/02
Sato19601027
129
ミステリとしての伏線回収も楽しめる人情捕物帳。東京の元OL優佳が、江戸で”おゆう”と名乗って、南町奉行所定廻り同心の鵜飼伝三郎とともに事件捜査にあたるSF捕物帳第3弾は、一等が千両という富くじが販売されて賑わう江戸の町で起こった呉服商の蔵を破った下手人の探索。手口が、かつて江戸を騒がせた盗人「疾風の文蔵」の所業に似ていることから、引退していた岡引き茂三にも助人を頼み、文蔵の行方を追うのだが・・・。おゆうが東京で科学鑑定して得た証拠は、下手人を特定出来ても、捕縛する根拠としては使うことが出来ずに苦労する。2024/07/30
雅
129
科学捜査をどう役立てるか?なかなか難しい課題だね。登場人物の関係性も膨らんできて面白くなってきた。これからも楽しみ2021/03/02
dr2006
94
現代と江戸二つの時代を往来し江戸で起きる難事件を解決していく八丁堀おゆう第三弾。江戸の町が高額富くじの売出しに沸く中、立続けに倉破りが起きる。その手口が7年前に起きた連続窃盗事件と似ていた為、同心たちは同じ盗賊の仕業と考えたが、おゆうの推理は違っていた。おゆうが江戸の世で伝三郎の捜査を助け活躍する程、伝三郎はおゆうへの想いを募らせるが、出自への疑念が増し一歩踏み出せない。これがシリーズを読ませ続ける燃料だとわかっていても、二人の関係の停滞が歯がゆく悶える。江戸の方で思わず現代語を漏れ呟やくおゆうも可愛い❤2019/10/06