出版社内容情報
五歳上の姉が「小説家」になったのは、僕が中学生の頃だった。ごく普通の家族の、ごく普通の姉弟だと思っていた自分たちに降ってわいた、思いがけない出来事。姉は一人暮らしを始め、次第に家族から離れていったが、三年後に帰ってきたときに弟の僕にこんなお願いをする。「私のマンションで、一緒に住んでくれないかな」表向き、人恋しさや防犯のためという理由を受け入れ、同居を始めた僕。しかしその裏には姉の「秘密」があると感じていた……。小路幸也が贈る、心温まる家族とそして姉弟の物語。
内容説明
五歳年上の姉は、学生時代に小説家としてデビューした。それから数年後、一人暮らしをしていた姉から突然、「防犯のために一緒に住んでほしい」と頼まれた大学生の弟・朗人。小説家としての姉を邪魔しないように、注意深く生活する中で、編集者や作家仲間とも交流し、疎遠だった幼なじみとも再び付き合うようになった朗人は、姉との同居の“真意”について考え始める。姉には何か秘密があるのでは―。
著者等紹介
小路幸也[ショウジユキヤ]
1961年、北海道生まれ。広告制作会社勤務後、執筆活動へ。第29回メフィスト賞を受賞し、『空を見上げる古い歌を口ずさむpulp‐town fiction』(講談社)にて2003年デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hiro
158
小説家が登場する小路さんの新刊ということで読んでみた。主人公の大学生朗人と、朗人の姉で小説家の美笑がいっしょに住みだすところから始まる。家が二軒隣で幼稚園から大学までいっしょという朗人の幼馴染み千葉と、どこか美笑に似ている朗人の恋人清香が主な登場人物だ。この四人は美笑の職業が‘特殊な’小説家という以外、みんな普通のいい人で、大きな事件なども起こらない四人の日常を描いている。特に『火車』を読んだ直後だったので、このほのぼのとした日常がよかった。もちろん小説家の生活が随所に出てきて、興味深く読むことができた。2016/08/21
おしゃべりメガネ
137
サクサクというよりはさっさと読了でした。う〜ん、今作の小路さん、ちょっとどうしちゃったのかなぁ〜。あまり作品に後ろ向きなコトはあまり書かないようにしていますが、正直本作はちょっと残念過ぎるかなぁ。タイトルにひかれ読み始めましたが、前半はまだしも肝心な中盤から後半にかけてが、ちょっとヒドいかなぁと。タイトルの意味がほとんど作品に影響を与えていないと感じてしまいました。少なくとも【小説家】というワードはほとんど必要性はなく、単純に姉思いの優しい弟のお話だったかなと。それにしても全てが中途半端な感じでした。2016/09/03
みかん🍊
96
5歳年上の小説家の姉と暮らす事になった大学生の弟との日々、もちろん人によって様々なのでしょうが、定時や出社のない小説家の生活とはこういう感じなのかなと知る事が出来た、特に大事件が起こる訳ではないが幼馴染みや彼女との関係、猫の脱走や母親の急病、普通の人達のあたりまえの生活だけきちんと育てられたから、いざと言うときに家族に対しても思いやり気遣える感情を当たり前に持てる、ほのぼのと温かく軽く読み進められた。2016/08/08
ひめありす@灯れ松明の火
84
「業を書けない」もしかしたら、その一言を書くためにこの小説は存在するのかもしれない。小路さんは業を書けない。ドロドロしたものも、淫らなものも、彼が書く言葉は真に迫らずごっこ遊びのようだから。「地味」で「偶然が重なり過ぎる部分がある」その言葉はもしかしたら、小路さんが度々言われてきたのかもしれない。だけど、何がいけないの。美しく笑み、朗らかな人。いい名前だなあ。読んだ人が笑顔になって、ちょっと優しい気持ちになれる。それで彼の物語は、十分なんじゃないかな。何てちょっと思ったり。表紙もほんわかとして素敵でした。2017/03/26
ゆみねこ
83
5歳年上の姉が作家になり、マンションで一人暮らしを始めたが、「一緒に住んでほしい」と頼まれて同居することになった大学生の弟。悪人が出てこない、爽やか系のストーリー。サクッと読了できます。猫のケンタが可愛い! 2016/09/16