内容説明
生活保護には2009年のリーマンショック以後、大量に流れ込んできた層が存在する。「働く力があるのに生活保護に頼る」層だ。もちろん、生活保護を本当に必要としている人たちはいる。しかし、取材班の目の前には、働く力がありながら働いていない人たちの姿が現れた…悲鳴を上げる自立支援の現場から巨額の生活保護費を狙う貧困ビジネス、闇社会の実態まで、受給者に密着して大きな反響を呼んだ番組の書籍化。改訂文庫版。
目次
第1章 働ける世代の生活保護受給
第2章 なぜ生活保護は急増したか?
第3章 貧困ビジネス業者
第4章 大阪市vs貧困ビジネス業者
第5章 受給者が沈み込む闇社会
第6章 第二のセーフティーネット
第7章 自立に立ちふさがる壁
第8章 生活保護をどうすればいい?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
241
リーマンショックで生活保護を増やした頃の話。生活保護はやはり苦境に陥った人が受けるためのものなので、こういう貧困ビジネスで這い上がれなくしている業者は取り締まって欲しいし、理想論だけどベーシックインカムとかしてくれたらこういうのも不公平感が出ないかなとも思えた。2020/04/13
みゃーこ
77
闇の貧困ビジネスが生活保護受給者を客として利用し制度を悪用する者がいる。働くことができる世代から「就労意欲」を削ぐ本末転倒な無秩序の実態は現行制度の在り方に疑問を抱かざるをえない。金銭的支援のみでは再就職に結びつけることの困難さが浮き彫りになる。就労につながる関係機関との連携を図りよりきめ細かいサポートや「生き方」に焦点を当てるケアが必要であると感じる。生活保護の本来の理念と精神を具体的に見直し本当に必要な目的に使われるよう制度を洗練させていく必要があると思う。2013/10/29
てんちゃん
6
働ける世代の生保受給者が増えていることについて、問題点と解決への手がかりを提示している。NHKスペシャルは、取材がしっかりしていて、丁寧なので分かりやすい。働ける世代でありながら生保になってしまった人たちは、そこに行き着くまでにひどく傷つき、生きることに希望を失ってしまっていることが多いように思う。彼らに時間をかけ寄り添い、一緒に希望を見つけ出さないと、生保から抜け出すことは難しいように思う。「急がば回れ」「北風より太陽」。さいたま市の市民団体「ほっとプラス」の取り組みが、実は一番効果があるように思える。2014/12/12
たけたけ
5
「生保に戻ればいいや」。契約期間満了で会社を退職となった方に、これから仕事はどうされるのですか?と聞いたときに返された言葉を思い出しました。全然働ける(と見受けられる)人が生活保護って受けられるものなの?とその時は思ったのですが、本書を読んで納得しました。社会の雇用情勢と本人の労働意欲が絡むなかなか根の深い問題ですね。生活保護受給の要件として労働の義務化、また医療費は自己負担を求めても良いのではないかと思いました。2013/09/23
ぶちゃお
4
生活保護は本当に難しい制度だと思う。健康上の理由などで真に必要な方は勿論別として。自立を促すために存するはずなのに逆に労働意欲を削いだり、悪徳ビジネスに巧みに利用されたり。そういう事例については、結局受給者の意思やモラル次第だから行政としても手の打ち様がないのではないか。財政も蝕まれている。事態は思った以上に深刻だ。2014/02/26