内容説明
鉄塔マニアの地味な伊達は中学校最後の夏休みを、一人でダラダラ過ごしていた。しかし登校日の学校で、破天荒な同級生、帆月から「鉄塔の上に男の子が座っている」と声をかけられる。次の日から、幽霊が見えると噂される比奈山も巻き込み、鉄塔の上に座るという男の子の謎を解き明かそうとするのだが―。少年たちが殻を破り、自らの一歩を踏み出そうとした夏休みを、この上なく鮮やかに、そして爽やかに描ききった、青春小説の名作。書き下ろし短編、『まだ幽かな冬』も収録。
著者等紹介
賽助[サイスケ]
東京都出身、埼玉県さいたま市育ち。玉川大学にて演劇を専攻。2014年、第1回本のサナギ賞優秀賞を受賞。翌年、受賞作である『はるなつふゆと七福神』を出版。和太鼓パフォーマンスグループ『暁天』所属。「鉄塔」名義でゲーム実況グループ『三人称』の一員としても活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
86
伏線が! まさかこんな風に回収するとは思わなかった。見事に生きるんですね……。中3の夏休みのふしぎな経験。だけどそれでいて、友情+αの物語でもある。鉄塔といえば武蔵野線、だろうけど、もちろん作中にしっかり折りこまれている。「歩く爆弾みたい」と、僕・伊達成実に形容されるクラスの女子・帆月蒼唯と、霊が見える(?)比奈山優との、鉄塔のナゾをとく日々。うんと青春していて切ない。途中で思ってもみなかったシーンの出現で、これはアニメ化してほしいと思った。書き下ろし短編もよかった。受験ガンバレ!2020/11/10
ゆのん
78
中学3年生の夏休み。目立たない主人公伊達、幽霊が見えるということで不登校の比奈山、突飛な奇行で浮いている帆月の3人は鉄塔の天辺にいる少年の謎を調べることに。不器用な3人の間で少しづつ育ってゆく友情や信頼がこそばゆい感じがして微笑ましい。暑い夏の出来事だがさわやかで読んでいて心地良かった。書き下ろしの短編ではその後の3人を知れて良かった。もっと3人の話を読みたいと思った。普段何の興味も無いものでも改めて知ると浪漫があるものだ。忘れられ失われてゆく悲しさと夏の終わりの寂しさが重なってジ〜ンとさせられる。2018/07/09
ちょこまーぶる
70
作者の伝えたい事は理解したのか?と感じる一冊でした。僕自身の読書力の問題なんですが、ファンタジー的な内容が若干苦手分野という理由もあると思います。中学生最後の夏の3人組の話なんですが、鉄塔の事を真剣に考えた事なんてないんですが、鉄道網のようになっていて、鉄塔の形状も様々な事も初めて知りましたが、鉄塔の上に座っている男の子の謎が明らかになっていく過程がイマイチ???という感じでした。でも、鉄塔の上から男の子には何が見えているのか?と思いながら読んでました。機会あったら鉄塔を見上げて見よう。2022/08/11
おかむー
61
中学校の読書感想文によさげな青春ファンタジーというかひと昔前ならジュブナイルと呼ばれるであろう今作は前半何処へ向かうかわからない感があるけれど、お祭りのあたりから楽しくなってくる。『よくできました』。鉄塔マニアの主人公・伊達が強引で常識外れなヒロイン・帆月に巻き込まれて夏休みに鉄塔にまつわる謎に関わってゆく。伊達と帆月のじれったい関係や、クライマックスの展開はどことなく『サマーウォーズ』の細田守を彷彿とさせる…というか細田作品としてアニメ化しても違和感なさそうな感触ですよ。2018/07/07
アポロ
46
夏だし、タイトルで読んでみた!繋がりは長さじゃなく濃さだと思うんだが!2021/08/15
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- 和書
- どっきんロリポップ全部!