内容説明
高度成長期からバブル時代、メガ銀行再編期までの表舞台と裏側を、旧富士銀行頭取、ドイツ証券会長、日本政策投資銀行社長を歴任した「橋本徹」が初めて明かす。銀行と日本経済がたどってきた道、そして明日は?
目次
第1章 手探りの国際化―終戦から内需主導の高度成長へ(フルブライト留学と米国の実像;カムカムおじさんと宣教師から学んだ英語 ほか)
第2章 オイルダラー争奪戦―石油ショックで成長に急ブレーキ(第一勧銀に奪われたトップの座;産声を上げたロンドン証券現法 ほか)
第3章 つかの間の「オーバープレゼンス」―バブル急膨張でモラル喪失(収益ナンバーワンの呪縛;焦げ付いた途上国融資 ほか)
第4章 縮小に追い込まれた国際業務―バブル崩壊で不良債権が急増(石田梅岩の教え;険しいサウンドバンキングへの道 ほか)
第5章 海外市場で再起を期す―危機の連鎖で金融再編が加速(山一と安田信託のくびき;みずほ誕生の真相 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
103
著者は経済記者で、よく銀行のことが分かっている人だと思います。「ドキュメント銀行」でその筆力はたいしたものだと思いました。また岩井克人先生のゼミ出身で「経済学の宇宙」もまとめられています。この本では、富士銀行のもと頭取の橋本氏の経歴を追いながらそれとともに日本の銀行(とくにメガバンク)がどのような歩みをしてきたかがよくわかります。私には非常に参考になりました。2018/06/26
Willie the Wildcat
52
橋本徹氏の経歴を通した金融界の振り返り。戦後の復興からオイル/リーマンショック、銀行・証券会社の破綻からの立ち直り、そして現代のゼロ金利政策。公益性とビジネスのバランス。前者が公的資金投入、後者がみずほ誕生。前者は資金回収は当然もその後の貸し渋り問題、後者は収益率・”国際”競争力の問題。共通項は国民(消費者)視点に欠ける印象。根底は、護送船団と言われた”過保護”体質なのかもしれない。それにしても、橋本氏の経歴を柱とする著者の主旨が、分かったような分からないような不思議な構成だったなぁ。2018/03/28
速読おやじ
14
実録銀行というタイトルが正しかったのかどうか分からないが、みずほ頭取を務めた橋本徹氏の仕事振りを通じて、僕がまだ銀行業界に入る前の昭和のアナログな銀行業務のこともよく分かる。特に国際業務、M&Aなど邦銀がまだまだというと時代の内容は面白い。システム障害発表の前日にみずほを去るというのも何とも。そこから、みずほは転落とまでは言わないまでも国内トップの座に全くといっていいほどたどり着かないのだから。銀行が銀行らしかった時代に仕事ができた橋本さんのことを少し羨ましく思った。2024/06/15
こうきち
1
現代史だから。それなりに楽しめました。2024/08/24
aun
1
かなりおもしろかった。もう少し現場に焦点が当てられていたら、バブルの狂騒やその後の苦境が伝わってきてよかったと思う。もっともインタビューされる側がその時にはもう経営幹部だったので仕方がないか。2021/01/15