ディスカヴァー携書<br> チャイナ・ジレンマ―習近平時代の中国といかに向き合うか

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ディスカヴァー携書
チャイナ・ジレンマ―習近平時代の中国といかに向き合うか

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  • サイズ 新書判/ページ数 303p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784799311769
  • NDC分類 319.102
  • Cコード C0231

出版社内容情報

「チャイナ・ジレンマ」とは、めざましく経済成長を続ける中国がもたらす経済チャンスと、一方で軍事力の伸長が生む政治・安全保障リスクの「ジレンマ」のことだ。

日本のみならず、少なからずの国々が、このチャイナ・ジレンマ直面している。この「チャイナ・ジレンマ」にどう向き合うか、経済チャンスを拡大しつつ、政治・安全保障リスクを低減していくという対中関係のマネージメントは難度を増している。しかし、日中両国は永遠に隣国同士であり、経済的互恵関係を発展させつつ、共存共栄を図ることが両国の共有する国益だ。両国の基本政策は体制の相違を超えて全体としての日中関係を安定的に発展させていくことである。

960 万 km2 の国土 13 億の人口 + 5000 年の歴史 56 の民族 30 年以上にわたり年率平均 10% 近い経済成長…の国家を統治することは至難の業である。「安定はすべてを圧倒する」との言葉がそのことを如実に物語る。外交を含め国家のあらゆる営みがこの言葉に収斂される。日本に求められるのは、中国の外交や対外姿勢の背後にある政治や社会の変化を読み取りながらアプローチする骨太の外交政策である。

現役の外交官として対中外交に関わってきた著者が、10年ぶりの中国指導部の移行期にあたって、中国の外交や対外姿勢の背後にある政治や社会の変化を読み解き、安定した日中関係構築に向けて私たちに何ができるかを考察する。

中国指導部10年ぶりの移行期にあたって、現役外交官が自らの経験と信念から熱く論じる渾身の一冊。

■ 第1章 中国への視座
1 「大復興」する中国
 「中華民族の偉大な復興」
 中国モデルの論座
 「チャイナ・ジレンマ」

2 中国の時空間を読む
 1)超国家的な巨大さと多様性
  巨大な中国
  多様な中国
 2)台頭中国の二つの顔と二つの心理
 「世界第二の経済大国」か、それとも「開発途上の大国」か?
 「トラウマの大国意識」か、それとも「責任ある大国論」か?
 3)改革・開放の光と影
  改革・開放のダイナミズム
  改革・開放の矛盾
 4)すべてを圧倒する「社会の安定」
 「発展」と「安定」の関係
 経済発展戦略の転換
 「発展」と「民生」の関係
 「党内民主」の限界と政治体制改革

■ 第2章 習近平時代の中国の行方
1 中国共産党指導部の危機感
 不透明感の漂う「ポスト胡錦濤」時代の始まり
 雇用問題と経済成長
 「四つの試練」と「四つの危険」

2 中国共産党の正統性と安定性
 中国共産党の正統性—ナショナリズム、社会主義、経済成長
 中国共産党の執政能力
 中南海の「トップ・ナイン」
 「共青団」と「太子党」 
 「ポスト胡錦濤」時代を担う第五世代のリーダーたち
 最高指導者となる習近平
 巨大国家を統治する中国共産党の試練

3 民の慟哭と社会の不安定化
 「上訪」
 「ネット世論」
 「温総理、ニーハオ!」
 「群体性事件」 
 「社会の安定」への取り組み

4 政治体制改革への展望
 政治体制改革の歩み
 二つの「体制内政治改革」:「三つの代表」理論と「科学的発展観」
 「重慶モデル」と薄熙来の挫折
 イデオロギー闘争の行方
 西側民主化への警戒感
 「党の純潔性」と「民生重視」の限界
 習近平時代の政治改革の行方

5 国際社会と中国
 1)中国の国益外交
  国際情勢認識―「平和と発展」の時代観と「多極化」の世界観
  国際的位置付け―世界大国への変化途上
  外交戦略1―「国益重視」と「全方位外交」
  外交戦略2―天安門事件と「韜光養晦」
  外交戦略3―中国脅威論と「善隣外交」
  外交戦略4―「責任ある大国」論とナショナリズム
  外交戦略5―「韜光養晦」から「積極作為」へ
  外交戦略6―「平和発展」と「核心利益」
 2)「強国」願望と「強兵」路線
  「富国強兵」路線 
  中国の軍事的論理
  パワー・プロジェクションの増大とリスクの高まり
  人民解放軍のエンゲージメント
 3)台頭中国の戸惑いと国際社会の苦悩
  世界の中の中国
  中国外交の難しさ
  中国の行方と対中アプローチ

■ 第3章 「チャイナ・ジレンマ」と日中関係
1 経済チャンスと政治・安全保障リスクのジレンマ
 中国「大復興」のチャンスとリスク
 「経済相互依存」論
 「パワー・バランス」論

2 国内世論と中国の対日外交
 東シナ海資源開発問題

3 国民感情とイメージの役割
 歴史問題をめぐる国民感情
 ギョーザ事件
 四川大地震と東日本大震災
 「歴史」を超える交流へ

4 「戦略的互恵関係」の推進
 「対中新思考」
 「共益」の増進
 「成功体験」の共有
 「開かれた日中関係」の構築 
5 中国社会の共感を求めて

6 「開かれた国益」を目指す日中関係へ
 政治と経済、外交と内政の絡み合う日中関係
 あらゆるレベルでの人的チャネルの強化
 国民感情の改善

7 日本と中国の明日
 「王道」か、それとも「覇道」か?
 歴史の流れと未来への思索

あとがき
人名索引
事項索引

ディスカヴァー・トゥエンティワン ホームページより

内容説明

経済チャンスと政治・安全保障リスクの中で、日本がとるべき道は?中国はこれからどうなるのか?中国指導部10年ぶりの移行期にあたって現役外交官が自らの経験と信念から熱く論じる渾身の一冊。

目次

第1章 中国への視座(「大復興」する中国;中国の時空間を読む)
第2章 習近平時代の中国の行方(中国共産党指導部の危機感;中国共産党の正統性と安定性;民の慟哭と社会の不安定化;政治体制改革への展望;国際社会と中国)
第3章 「チャイナ・ジレンマ」と日中関係(経済チャンスと政治・安全保障リスクのジレンマ;国内世論と中国の対日外交;国民感情とイメージの役割;「戦略的互恵関係」の推進;中国社会の共感を求めて;「開かれた国益」を目指す日中関係へ;日本と中国の明日)

著者等紹介

小原雅博[コハラマサヒロ]
1980年、外務省入省。アジア局地域政策課長、経済協力局無償資金協力課長、アジア大洋州局審議官などを経て、現在、在シドニー総領事。海外は、中国(北京)、香港、ニューヨーク(国連代表部)、ロサンゼルスで勤務。東京大学卒、UCバークレーにて修士号(アジア学)取得、立命館大学から博士号(国際関係学)を授与される。早稲田大学や立命館アジア太平洋大学他で客員教授を務めた。徳島県出身(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ちくわん

16
2012年6月の本。外務省の在シドニー総領事。「近代の屈辱」から「強国の夢」へ突き進む隣国。未だかつて存在し得ない13億人の国民と広大な国土を国家として維持していく。自国とは異なる成立条件であることを前提に観察していかないと、共存することができない。「中華民族の偉大な復興」は、私達に何をもたらすのか。2021/05/30

おらひらお

2
2012年初版。習近平体制の中国と行方について外交官がまとめた一冊です。専門的な視点からの指摘が多い割に、読みやすい一冊でした。戦略的互恵関係が必要とのことでした。2015/09/23

nagata

1
EUを超える面積に世界最大の人口を抱える中国。抜きん出た経済発展を遂げると同時に、アジアをはじめ各国との安全保障上のリスクが高まっている。とりもなおさず、これだけの大国を維持し続けている中国政府=共産党の力量を軽んじてはならない。また、彼らの置かれている外圧状況をしかと見定めてみることが重要だと思う。いつまでも海の反対側の国の顔色をうかがっているばかりが能じゃない。2015/04/19

ぽんた

0
中国の台頭に関連して、中国が内部に抱える問題を確認しながら、日中間でのより良い関係の構築のための提起を行なっている一冊。2012年初版発行ということでそれから5年経ち当時とは中国の経済規模も国際社会の周辺環境も異なってきていることは確かだが、一方で中国という国家の理解や外交における国益の考え方などについては時代遅れにならないものに思え、日中関係の改善に向けた提言に関してもここ5年の間にどれだけ実現されたのかは分からないが継続していく必要があると言えるだろう。2017/10/14

dragon

0
「中国の大復興」の時代の中で両国関係のあり方、それに影響を与える国内事情を分析している。全般的な事情をよく解説しており、納得できる。それでも希望の未来になるか厳しい未来になるか、中国国内の権力バランスの影響が大きく予断出来ない。2016/02/20

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