出版社内容情報
アヘンは人類最古の文明といわれるメソポタミア文明の時代から薬として使われていた。天然痘の予防接種を西欧に紹介した最初の人物はジェンナーではなく、マリーという女性だった。薬の歴史を紐解きながら、医療制度の変遷や現代の巨大製薬企業と創薬の仕組みまでを網羅した、薬にまつわる10の物語。
内容説明
アヘン、ワクチン、クロロホルム、ピル、抗うつ剤、ヘロイン、バイアグラetc…植物、粉、錠剤が形づくった驚きの物語。
目次
PROLOGUE 五万錠の薬
1 喜びをもたらす植物からアヘン
2 レディ・メアリーの怪物
3 ミッキーフィンと抱水クロラール
4 咳にヘロイン
5 魔法の弾丸
6 最後の未開の地、脳
7 セックスと薬ともうひとつの薬
8 魅惑の環
9 個人的な物語、スタチン
10 究極の血液、モノクローナル抗体
EPILOGUE 薬の将来
著者等紹介
ヘイガー,トーマス[ヘイガー,トーマス] [Hager,Thomas]
1953年ポートランド生まれ。医微生物学と免疫学、ジャーナリズムで修士号を取得。国立がん研究所で勤務後、フリーランスのメディカルライターとなり、オレゴン大学プレスのディレクターも務める。著書多数。アメリカ・オレゴン州ユージン在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
103
世界中で様々な薬が開発されている。薬社会。今までに使われた10の薬についていろいろなエピソードを絡め書かれている。アヘン、天然痘ワクチン、抗菌薬、ヘロイン、睡眠薬、抗うつ剤や経口避妊薬他。特にアヘンやヘロインといった麻薬ケシの実から作られた白い粉が人類の生き方・歴史を左右してきたことや天然痘の恐ろしい病状、、抗菌薬と睡眠薬の章は興味深く読めた。毒にも薬にもなるという表現は真を突いた表現。新型コロナウィルスのワクチンもいずれは開発されると思うその時はこういった本に紹介されるのだろう。恐るべしコロナウィルス2020/04/02
よっち
34
一万年以上前から使用されていたアヘン、天然痘ワクチンを生み出すきっかけとなったレディ・メアリーの存在、有機体由来でない化合物によって生み出されたモルヒネ・ヘロイン、抗菌薬の誕生、抗精神病薬、ピルとバイアグラの開発、スタチン、モノクローナル抗体と、昔からある医薬品を中心に、その起源や開発の経緯などを紹介しつつ、現在の製薬企業のありかたや医薬関連規制、それぞれの薬がもたらした影響などが解説されていて、これまで誰もやらなかったことに挑戦することや、その薬の功罪を冷静に見極めることの難しさを改めて痛感しました。 2020/02/20
ばんだねいっぺい
33
「阿片」を越えるものはないんだなと嘆息。それのバリエーションが続いているし。セレブが広告塔の役割を果たしたのには、そういう方法が有効なんだなと納得した。2020/04/16
鯖
21
阿片にヘロイン、モルヒネ、人痘接種とクスリと人間のかかわりについて書いた本。科学者のみなさんもすごいけど、それと知って、あるいは知らずに治験してくださった方々と実験の犠牲になった動物たちにめっちゃ感謝するしかない。ピルとバイアグラが並立された章にあって、ピルの効能は避妊の面ばっかりあげられてたけど、生理に関する様々な病を軽減する方向でお世話になってる人もいるのでそれはどうかなと思う。ピルがなかったら、まともに生きられる日が半減する女性もたくさんいるので。2022/08/27
宇宙猫
20
★★★ 医療の歴史を変えた重要な薬が、どうやって発見されたり作られたりしたのか。人間関係とかがちょっと長いけど面白かった。抗菌剤ができてから100年経っていないって、人にとってホントに最近。第二次大戦の前と後では、いろいろなことで世界がかわってるとしみじみ思った。2020/12/22