内容説明
労働者のために創られた特異な教育空間―労働学校を通じた人の生の様ざま。教育・学習の形態や年代の多様化が進む今日、教育と労働との結び付きはもはやシームレスなものとなりつつある。政府主体で「社会人の学び直し」の政策が進められてきたが、主に職業能力の向上を目指されたものであり、新たな深い学びの機会とは言い難い現状にある。労働学校という特異な学校に目を向ける本書は、綿密な一次史資料を用いた歴史研究および実際に労働学校で学んだ当時の学生たちへのオーラルヒストリー研究といった多領域の視野から、この教育空間へと深く切り込む。これまで労働/教育双方の研究から見逃されてきた新たな学術的境地を切り拓いた挑戦的研究!
目次
序章 労働者の生と生涯教育の空間という主題
第1章 教育及び空間概念の再考―分析概念の構築に向けて―
第2章 労働者教育の全体像と現状
第3章 「労働学校」の史的展開―特に京阪地域に焦点を当てて―
第4章 京都労働学校の教育目的と教育内容―「教員」の視点から見た京都労働学校―
第5章 京都労働学校における教育/学習の多層性―「学生」の視点から見た京都労働学校―
終章 「自己の人間形成過程の占有」をめぐる考察
参考/引用文献・史資料・URL一覧
付録1 翻刻資料
付録2 インタビュー記録
著者等紹介
奥村旅人[オクムラタカヒト]
1991年生まれ。京都大学大学院教育学研究科修了、博士(教育学)。びわこ成蹊スポーツ大学スポーツ学部専任講師を経て、現在、京都大学大学院教育学研究科講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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