内容説明
「人とは違う」に寛容な教育モデルの構築を目指して―近年、社会的需要の高まるSTEM分野やグローバル人材育成のための様々な才能教育が、わが国でも整備されて来た。他方、優れた才能と発達障害を併せ持ち、二重の特別支援教育を必要とする2E(twice‐exceptional)の子どもたちが、既存の学校教育に馴染めず、才能の開花をされないまま置かれている現状もある。多様な発達を遂げる子どもたちの才能を引出し伸ばす包括的な教育は一層整備されなければならない。米国の実践事例を合わせ鏡とすることで、わが国に適した才能・2E教育を具体化し、「誰一人取り残すことのない個別最適な学び」の極致を志向した労作。
目次
第1章 才能の概念と発達多様性
第2章 才能児の多様な才能とニーズの評価
第3章 才能教育の方法と早修
第4章 拡充プログラム
第5章 2Eの概念と2E教育の方策
第6章 2E教育の実践方法
第7章 日本の才能教育の現状と課題
第8章 日本の2E教育の現状と課題
著者等紹介
松村暢隆[マツムラノブタカ]
1954年、奈良県生まれ。京都大学文学部卒業、京都大学大学院文学研究科心理学専攻博士課程修了、文学博士。専門は発達・教育発達心理学、才能教育、2E教育。関西大学文学部教授を経て、2021年度より関西大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
luckyair
3
再度必要な所が出てきたので、再読。あとがきにあるコメントは、日本全体の教育にとって必要なことだと思う。「子どもを指導・支援して変えようとする情熱は尊いが、本人の変わらなくていい、変わってはいけない個性を保って、より生き易くなる環境整備を目指す。それが学校でも学校外の教室や家庭でも、発達多様性のある人々に優しい社会の、より広い理念とも言えるだろう。今も困っている発達多様性のある才能児は、違った環境ではもっと楽に才能を発揮できるのだから。」★★★★2023/08/12
luckyair
2
日本では特に少ない2E本。定義や特性だけでなく、各国の教育制度や拡充プログラム、日本の2E・才能教育の現状や課題についても幅広く扱う。ギフテッドも2EもGDFも、日本では極めて伸びにくい(そもそも見過ごされる)。早々に潰す教師もおり、ドロップアウトしてしまうとそれ以降は関わらない。効率化を目指した一斉教育は明治以降からであり、それ以前は習熟度別にどの学年の生徒も混ざって授業をしていたらしい。今日、米・韓・中に自然科学論文引用数を抜かれ、初めてトップテンから陥落したというニュースを見た。さもありなん。★★★2022/08/29