内容説明
不寛容のはびこる世界の総合的改善“パンオルトシア”に向けたコメニウスの具体的改革案。コメニウスの遺稿『人間についての熟議』の第六部を成す「パンオルトシア」。ここでは世界の総合的改善のための段階的手順が説明される。個々が神の冒涜や非人間的要素を棄却することに始まり、総合的な哲学・政治・宗教・言語の確立を通し、最終的には光の学術会議・神聖の枢機会議・平和の法院という3つの世界会議およびそれらを包括した世界総会の存在によって、キリスト教的伝統に立脚しつつも世界全体を包括した総合的改善を志向する。
目次
総合的改善とはどういうことか。これまで総合的にはまったく試みられてこなかった。またそれがいかに望ましいことであるか。
世界の終わりの前に、普遍的改善の疑えない期待がある。
普遍的な改善はキリストの事業である。キリストはそこから滑り落ちたすべてを回復させる。けれども私たちの協力が必要である。しかし事柄のこの状態からすればもはや難しいことではない。
改善は、キリスト教徒の間で始めねばならない。
総合的な改善のイデア
総合的な改善に強力に抵抗している悪を止めることについて。まず、魂の麻痩、無頓着、先入観、強情を追い払うことについて。
精神の冒涜を、すなわち神との軽率な行動を取り除くことについて。
非人間性を止めることについて。すなわち、お互い同士の軽率な活動と、そこから生じる互いの不和、憎悪、不正について。
軽率さを、すなわち事物の盲目的で不安定で暴力的な取り扱いを除去することについて。
すべての新しいことを、すなわち総合的な哲学、総合的な宗教、総合的な政治を構築する必要性について。それによって私たちは対立せず、私たちの幸せの目標から遠く離れてしまうことが、もうなくなるはずだ。これはどこから手に入れるのか(四十三節)、またどのように作り上げるのか(四十五節)。〔ほか〕
著者等紹介
太田光一[オオタコウイチ]
1949年福島県生まれ。1972年東京大学教育学部卒。高知大学、福島県立会津短期大学、公立大学法人会津大学勤務を経て、2015年3月定年退職
相馬伸一[ソウマシンイチ]
1963年札幌生まれ。1994年筑波大学大学院博士課程教育学研究科単位取得退学。博士(教育学)(筑波大学)。現在、佛教大学教育学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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