内容説明
哀しみを知った青春それでも生きて―生を言祝ぐことはできるのか(「幸運の蹄鉄」)ほか、次兄修明の遺稿詩二篇、著者二〇歳の作品集よりの二篇を含む、さまざまな年齢で覚える微かな痛みと希望を綴る七つの掌篇。
著者等紹介
松永澄夫[マツナガスミオ]
1947年熊本の農村生まれ。東京大学名誉教授。哲学を創造する年刊誌『ひとおもい』編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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袖崎いたる
5
松永澄夫文芸三部作(と勝手に命名)の3作目。物語になっていないってのは自覚があったようで、あとがきでここんとこ出版してた文芸作品のことを書いてある。いろいろ思うところがあるから、どうにかまとめてみたいな〜ってのが、今のお気持ち。あっ、一応著者の技量に関して言えば、この本では前の2作品よりも観念っぽさはない。人物造形の勘所を押さえてる。中学生をややこしくなく描いてる。ただ、やっぱり手綱が弛むというか、哲学者の顔がビヨンド(舞城王太郎)、要するに〈作者〉ってやつが思い余って哲学をやりだす場面がある。2019/11/13