内容説明
近視眼的な「成果」の強要は、国立大学の財政を困窮させ、「学問の自由」を脅かす!わが国の大学の1割強を占める国立大学。その研究・教育的重要性は言うまでもないが、世界大学ランキングの登場や「評価に基づく資金配分」などにより目先の「成果」が求められるようになったことで、国立大学の研究・教育をめぐる財政に様々な変化が生じている―。本書は、国立大学を類型化し、大学内の資金配分など独自の視点をもとに、国立大学が直面する「現実」について実証分析を行う。一枚岩でない「国立大学」を取り巻く複雑なシステムの実情を明らかにし、特に基盤的研究・教育費の削減が著しい地方国立大学が置かれた危機的状況を喝破した一冊。
目次
1章 研究の目的と分析枠組み
2章 設置主体別にみた国立大学システムの機能
3章 大学類型別にみた国立大学システムの機能
4章 事例研究による大学開放機能と大学の機能モデル再考
5章 国立大学システムの学術的卓越性象徴機能と自大学認識
6章 法人化以前の国立大学財政の時系列変動
7章 運営費交付金とシミュレーション
8章 法人化後の国立大学財政・財務
9章 国立大学における学内資金配分の変化
10章 法人化後の国立大学のファイナンスの変容―ガヴァナンスとともに
11章 知見と含意
附属資料
参考文献