内容説明
高齢者の性問題から考える「小さな死」とは何か。―あたらしい死生学のはじまり。「小さな死」について、カトリックのシスター渡辺和子は日常生活で体験する「死へのリハーサル」と捉え、フランスの思想家ジョルジュ・バタイユはそれを「快楽の絶頂」と捉えた。渡辺とバタイユの「小さな死」論が「性」で交差することに着目し、タブーとしての見方が根強い高齢者の性問題の事例を通して「個別的人間存在への否定=小さな死」の存在を明らかにする。
目次
第1章 「小さな死」によせて(どうして「小さな死」が注目されるのか?;「小さな死」という言葉について ほか)
第2章 二つの「小さな死」―その邂逅の軌跡(渡辺和子の「小さな死」;ジョルジュ・バタイユの「小さな死」 ほか)
第3章 老いにおける性と死(高齢者における「性」の捉え方―特に「福祉・介護」の文脈から;「高齢者の性」を捉え直す視点 ほか)
第4章 死に向かう生と性―高齢者はいかに性を生きるか(高齢者の「性」への視点の変遷と限界;介護現場における「高齢者の性」を肯定的に捉える視点 ほか)
著者等紹介
大林雅之[オオバヤシマサユキ]
1950(昭和25)年東京に生まれる。1986(昭和61)年上智大学大学院理工学研究科生物科学専攻(生命科学基礎論部門)博士後期課程単位取得。ジョージタウン大学ケネディー倫理研究所客員研究員、産業医科大学講師、山口大学医学部教授、川崎医療福祉大学教授、京都工芸繊維大学大学院教授などを経て、東洋英和女学院大学教授。日本生命倫理学会第8期代表理事・会長(2011年~2014年)。専攻は生命倫理学(バイオエシックス)、科学史、科学哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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