内容説明
先住民族に対する抑圧/権利保護政策をめぐる本格的な実証研究2―先住民族とマジョリティの共生をめざして。北欧サーミが復権運動を通して独自の議会やメディア、教育などの機関・機構を成立させていた(第1巻)一方、アイヌは差別の残存やそれに伴う経済問題など多くの困難を抱えたままでいた。しかし近年はアイヌ文化を称揚する動きの高まりや、和人(アイヌ以外の日本人)との混血などによって、若年アイヌたちの被差別経験は減少している。本書はこうした周辺社会の変化からアイヌ・アイデンティティの世代差や和人地域住民との交流関係を分析し、現代アイヌの生活実態や意識、彼らを取り巻く社会環境を詳述する。第1巻と併読することで、先住民族とマジョリティの共生には何が必要か、その多くの示唆に気づくだろう。
目次
第1部 本書の課題とアイヌ政策(アイヌの人々の生活・意識と歴史的背景;地域におけるアイヌの歴史と自治体のアイヌ政策)
第2部 アイヌの人々の生活の歩みと意識(アイヌの家族形成と展開;アイヌ民族の教育問題と階層形成過程 ほか)
第3部 地域住民とアイヌの人々との関わり(現代におけるアイヌ差別;和人住民から見たアイヌの人々との交流―「学校」「職場」「日常生活」「結婚」の場面に注目して ほか)
第4部 結論(アイヌの人々をめぐる現状と課題)
著者等紹介
小内透[オナイトオル]
1955年群馬県生まれ。1984年北海道大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学。北海道大学大学院教育学研究院教授(博士・教育学)。北海道大学アイヌ・先住民研究センター兼務教員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。