内容説明
トランプ大統領の誕生は銃所有権をさらに拡大するか―銃社会アメリカを知る最適のガイド。アメリカの銃による犠牲者は年3万人と桁外れだ。しかも大量殺人事件後に銃所持賛成者が増えるなど「異常な」状況が続いている。本書は、あらゆる銃規制努力を無にする銃社会アメリカの実態を解明し、建国からポストオバマ時代までアメリカ人の銃に対する態度を検証するとともに、その独自の独立自尊の観念をさらに認識する必要を説いた、渾身の力作である。
目次
第1章 銃社会の現状
第2章 憲法が保障する銃の権利
第3章 政治イデオロギー、党派性、そして銃
第4章 地域区分、地域性、そして銃
第5章 ガン・インダストリー
第6章 利益団体
第7章 連邦議会と連邦法
第8章 大統領と行政による取締り
第9章 連邦裁判所と最高裁判決
第10章 州レベルの動き
著者等紹介
鵜浦裕[ウノウラヒロシ]
1955年石川県生まれ。1984年上智大学大学院博士課程修了、上智大学文学博士(1989)。現職、文京学院大学外国語学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
15
アメリカ合衆国憲法修正第二条、保守・リベラルの対立、利益団体の役割と影響力。このテーマに関する基本的な構造は昔からそう変わらないとの印象。興味深い点は、オバマ前大統領の銃規制強化の姿勢がガン・ライツ支持者の恐怖心を煽るキャンペーンに利用され、銃愛好家たちが買いだめに走り、射撃練習場や弾丸製造工場もフル稼働し、業界が潤ったという皮肉な現象。テッド・クルーズによるマシンガンベーコンのド派手なパフォーマンスも記憶に新しいが、アメリカも行き着くとこまで行った感じがある。米国内の二極化、分裂の深まりもかなり深刻。 2017/02/02
マイケル
1
「アメリカ合衆国憲法修正第2条」によって銃所持が保証された米国。毎年のように銃乱射事件が起きているのに、いっこうに銃規制が進まない理由が本書で分かります。皮肉なことに銃規制を進めようとしたオバマ政権になってから銃の 売り上げが伸び、銃器メーカーの株価が大きく上がっているようです。その結果、銃規制を進めたい政治家が無力化されているようです。銃問題に興味の有る方にお勧めします。不思議な国です。類書が少なく、もっと読まれてよい本だと思います。まさか日本にまで、圧力が掛かっているなんてことはないでしょうが。2017/04/25
晴天
1
事件があるたび銃規制を求める声が報じられ、愛好家向けの銃器雑誌では規制について危機感が語られるため、アメリカの銃規制は強化される一方というイメージがあった。しかしガン・ライツは合憲という強力な正当性があり、また、公権力に自分の生活や習慣を規制されることを忌避する心情を持つ者も多く、それゆえガン・ライツは上記のような漠然としたイメージより遙かにタフであることが本書では示されている。/個人的にはブレイディ法を見て「もう銃は持てなくなる」と思い、漠然と持っていた渡米への情熱を失ったが、しかしそれは早計に過ぎた。2016/12/24