内容説明
今日の教育実践は学校の教室という特殊な空間、子ども・若者に対するものにとどまるものではなく、生涯にわたりより開かれたものとなっている。とりわけ成人を主体とした教育実践という現象は、より多様性を孕んでおり、新しい実践領域へと研究の視野を広げるとともに、これまで教育学が前提としてきた理論的・実践的研究の成果を再検討することが求められている。本書は、社会学的アプローチを駆使してこの現象に切り込み、成人教育における学習のプロセス及びその社会的価値を究明する、渾身の労作である。
目次
成人教育の社会学に向けて
第1部 成人教育のポリティックス(「パワー」と成人学習;「労働の場の学習」とパワー;若者の社会参画のポリティックス)
第2部 アート教育と意味構成(震災とアート教育の可能性―ホリスティックな学びの意義;ワークショップへの参加と自己変容のプロセス;美術館経験と意味構成)
第3部 女性のライフコースとエンパワーメント(健康学習とおとなのエンパワーメント―医療生協保健委員の活動を通して;エンパワーメントを支える学びの構造;社会変革と中国女性のライフコース)
第4部 社会的包摂と成人教育の可能性―排除から社会的承認へ(体制転換と社会的排除のプロセス―ホギーン・ツェグ:絶望の淵からの報告;社会的包摂と成人教育の可能性)
著者等紹介
高橋満[タカハシミツル]
1954年茨城県生まれ。専門領域:成人教育研究、生涯学習研究。新潟大学法文学部卒業。東北大学大学院教育学研究科博士課程後期単位取得退学。教育学博士(北海道大学)。東北大学大学院教育学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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