内容説明
開発援助活動を、よりニュートラルな「介入」という概念で捉え直したとき、「援助」という言葉自体がもつ心情的肯定観に変わって浮上してくるのは、負の帰結を含む援助に対する冷徹な評価と、それに伴うドナー側の責任だ。ガンジス川浄化計画の諸事業を事例に、ドナーの宿命的な無責任さを実証的かつ理論的にあぶり出すとともに、それを乗り越えるための開発援助のあり方を鋭意追究した。責任あるドナーのための新たな介入のモデル。
目次
開発援助に内在する構造的な問題
第1部 介入の理論(開発援助の介入論;国境を越えることの重さ)
第2部 事例検証(事例の概要:ガンジス川浄化計画;ブリンダバン1:介入の連鎖の不具合;デリー市のトイレ事業:迷惑なジャパニーズ・トイレ;バラナシ市の下水道事業:援助対象者の敵になる;ブリンダバン2:“指導マニュアル型介入”の検証)
第3部 介入の選択(“直接統制型介入”の検討:参加型開発の批判的検討を通して;“仲介型介入”の構想:ガンジス川浄化計画の実証研究を通して)
どのような介入を望むのか?
著者等紹介
西谷内博美[ニシヤウチヒロミ]
2001年シカゴ大学人文学研究科修士課程修了。2005年法政大学大学院社会科学研究科修士課程修了。2012年法政大学大学院政策科学研究科博士後期課程修了。法政大学サスティナビリティ研究教育機構リサーチアシスタントを経て、現在、都内の諸大学にて非常勤講師。専門は環境社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。