内容説明
東京帝国大学約75年の軌跡には日本近代大学の歴史が凝縮されている。本書の詳細な歴史分析が示すのは、帝国大学が発足時すでに内包していた様々な問題点が、以後の多くの大学の小帝国大学化と相まって、今日なお解消されていないという事実だ。それら専門蛸壷化、現場との遊離、画一化等の根本には、西洋学術における真理探究の根本的方法を学ばず、その結果の輸入のみに終始したわが国固有の病弊がある。「歴史を知らずして改革なし」この根幹を忘れた「改革」への痛烈な批判。
目次
文部省設立以前の大学―明治初年の大学と教育行政
日本における高等技術教育の形成―工部大学校の成立と展開
帝国大学令と帝国大学の矛盾―確立期の大学行政に関する一考察
帝国大学形成期の保守と革新―大学史における森有礼
確立期の高等教育と大西祝
大正三(一九一四)年の帝国大学令改正案と東京帝国大学―奥田文政下の学制改革問題
帝国大学制度調査委員会に関する一考察
連合工業調査委員会「工業教育刷新案」と東京帝国大学工学部「学制改革」
日本における大学学年暦の変遷
企業と大学―戦前の素描
日本高等技術教育政策史試論―戦前編
大学改革と日本の近代大学1 近代大学の形成―ヨーロッパにおける成立の諸相
大学改革と日本の近代大学2 戦前日本の大学改革
著者等紹介
舘昭[タチアキラ]
1948年、東京生まれ。1972年、東京大学教育学部卒業、1977年、同大学院博士課程満期退学。奈良教育大学助教授、放送教育開発センター助教授、大学評価・学位授与機構教授を経て、桜美林大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。