内容説明
第一線研究者15名を結集した本書は、第1巻と共に、眼前の今日的事態と現代国際法の対決を中心に、充実した考察が展開される5部構成の論集であり、そのアクチュアリティは、ガプチコヴォ事件、ソマリア沖海賊、旧ユーゴ国際裁判所判決、グローバル化と国際法等、若干の論文テーマからも推察できるだろう。そこには現実と理念との葛藤下にある現代国際法の苦闘と希望が凝集されており、松井教授の古稀記念に適う力作論文集の誕生と言えよう。
目次
第5部 環境の保護と持続可能な発展(「大気の保護」に関する法典化;現代国際法と持続可能な発展;気候変動分野における国境調整措置とそのWTO協定適合性;個別国家の利益の保護に果たす予防概念の役割とその限界―ICJのガプチコヴォ事件本案判決とパルプ工場事件本案判決とを手がかりに;油による汚染損害に対する責任および補償に関する国際制度)
第6部 海洋法をめぐる新たな問題(国家管轄権の限界を超える海域における生物多様性保全の課題;普遍的管轄権の陥穽―ソマリア沖海賊の処罰をめぐって)
第7部 国際刑事裁判所をめぐる動向(刑事司法を通じた新植民地主義―欧州諸国の普遍的管轄権に対するアフリカの反発;旧ユーゴ国際刑事裁判所判例上の「共同犯罪実体」概念―その意義と問題点をめぐる議論を中心に)
第8部 紛争の解決と平和の維持(国際司法裁判所特定事件裁判部再考;国際法における「武力紛争」の概念;平和維持分野における国際連合とアフリカ連合のパートナーシップの摸索;安保理強化措置の多様化―その批判的検討)
第9部 国際法の発展と課題(普遍的公権力と普遍的法秩序―国連安全保障理事会の決議および行動に対する司法審査について;グローバル化時代における国際法―法の遵守と法化・分断化・立憲化の陥穽)