内容説明
権威を求め、受容者を集団化し、その長期持続を願う人類共有の心情は、ひいてはすでに虚妄と化した権威の固着化さえ生み出す。今回の東日本大震災に際し、政府、企業、学者らが露呈した、もはや幻想でしかないこの種の権威を我々は速やかに解体せねばならない。権威という現象をめぐって蓄積された知見を精細に分析・整理し、自発的受容と自立的判断放棄を迫る権威のメカニズムを的確に解明した本書は、そのため必須の武器となるだろう。
目次
序 本書のテーマと構成―自発的遵守と私的判断の放棄としての権威
第1章 権威の発生(1)―“authority”語源三要素とその継受
第2章 「権威」の発生(2)―定訳の権威の源流と成立をさぐって
第3章 局面配列としての権威―権威過程的接近
第4章 敬意対象としての権威―高齢要素重視へ向けて
第5章 3つの権威観―縦糸型権威から横糸型権威へ
第6章 私的判断放棄と現代社会―権威継続をもたらす縦糸的問題
第7章 敬意が排除を生み出すとき―権威継続をもたらす横糸的問題
結び―権威の動態的把握と高齢要素の現代的意義
著者等紹介
藤田哲司[フジタテツジ]
1966年1月13日、東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士(社会学)。早稲田大学、放送大学で権威論を教えつつ、要介護認定一級の親の介護をするという経験をへて、現在、武蔵大学教員。日本社会学理論学会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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