内容説明
断片的覚書から成る『獄中ノート』が孕む、強靱な方法論的一貫性と内的体系性の探求を通じ、その「実践の哲学」を基盤に浮かび上がる、社会の統合・更新の動態を見据えた、卓越した社会学的考察と論理。
目次
第1章 グラムシの生涯
第2章 『獄中ノート』と本書の課題に関する予備提議
第3章 『獄中ノート』体系の構造と「実践の哲学」
第4章 集合体と個人・人間・人類
第5章 歴史分析の理論枠組―知識人・階級・ヘゲモニー
第6章 拡大された国家概念―政治社会と市民社会
第7章 歴史分析の三次元方法論
第8章 「アメリカニズム」分析の方法
著者等紹介
鈴木富久[スズキトミヒサ]
1945年、名古屋市に生まれる。立命館大学大学院社会学研究科博士課程単位修得退学。現在、桃山学院大学社会学部教授。社会学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Sakana
2
ただでさえ抽象的なものを解説という形でさらに抽象化させているので、なかなか理解するのが大変だった。『獄中ノート』を読んでから本書を読む方が良かったかなぁ。2017/03/26
富士さん
0
正直よくわからない。階級、階級と連呼するのにも辟易なのに、著者がそういう古く臭さをフォローすることなく有用性ばかり強調されるので戸惑うばかりです。まさか本気でレゴラータ社会が到来すると思っておられるのではありますまい。ヘゲモニーの概念など興味深い洞察が多いなら、そこにもっと注目を寄せてもよかったのではないかと思います。翻訳ではないのですから思想をなぞるだけというのはあまりにも芸がない。A.グラムシという人自身がすこぶる魅力的でおもしろそうなのですから、人と思想を絡めて描けなかったものかと思うのですが。2013/09/17
ハンギ
0
思想家グラムシは脊椎カリエスにかかり、障害を負いながらも貧しい環境から抜け出し、共産党の代議士になるがイタリアのファシズムによって逮捕・投獄されてしまう。その獄中で書いたものが「獄中ノート」としてグラムシの主著になっている、というのは皮肉ですかね。全体的な視点・枠組みを得られるけどこの本だけでグラムシを語れるかというとよくわからない。僕のイメージだと群衆それ自体が能動的に政治を行ったり、生産を行ったりし、結果的に国家の解体をもたらすという考え方は刺激になりました。その当時は協同体主義が流行っていたようです2012/12/17
spikyhair
0
★★★2011/03/06