感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
人生ゴルディアス
3
すごい労作なのがひしひし伝わってくるが、あまり興味を持てず流し読みになってしまった。あくまで行政文書の分析であって、うまそうな宮廷料理の話があるわけでも、食材の取引模様が記されるわけでもなく、非常に無味乾燥だったのが門外漢には辛かった。地理もものすごく詳細に分析されてるが、アデンしかわからないからな……。標高の高い山岳地帯があって、降雨があるため農業が盛んとかは知れてよかった。2023/12/22
バイトアルヒクマ
0
本書の目的は宮廷食材の検討を通して13世紀の世界の一端を描き出すこと、またラスール朝という地方王朝の姿を具体的に提示することである。食材に関しては常時と祭事で供給物に大きな差異はなく、インド洋周縁部で産出される食材が宮廷で使用されていた。政治地理的な要因もあるが、ラスール朝ではアデン、タイッズ、ザビード3都市を中心にした地理認識が確立したと著者は述べる。宮廷について見れば、食材分配や宴席はラスール朝への忠誠を示させる手段であった。ネットワークと王権が影響し合うところにラスール朝の繁栄の要因は求められる。2024/07/31