内容説明
カーソンが亡くなる半年前の講演は、彼女の遺言とも言うべき思いがあふれている。「汚染を持ちこむという問題の根底には道義的責任―自分の世代ばかりでなく、未来の世代に対しても責任を持つこと―についての問いがあります」『沈黙の春』から半世紀―カーソンが生きていたら、いまの日本を見てなんと言うだろう?
目次
いまレイチェル・カーソンを読み直す
大学時代まで
書くことが好き
科学への迷い
大学院時代
公務員になる
戦争は終わった
『われらをめぐる海』にとりかかる
ベストセラーの誕生
さまざまな反響
原子力時代の到来
『海辺』もベストセラーに
つかのまの安らぎ
苦難の道
沈黙の春は、騒がしい夏へ
カーソンの遺した言葉
著者等紹介
上遠恵子[カミトオケイコ]
東京都出身、東京薬科大学卒業、研究室勤務、学会誌編集者を経て、現在はエッセイスト。1988年に「レイチェル・カーソン日本協会」設立に加わる。現在会長。執筆、講演などで活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nizimasu
4
不勉強なもので化学物質による人体の被害を告発した「沈黙の春」について改めて考えが及んだのが最近のこと。いまでも公害の告発書としても意義のある本の著者の足跡をたどったのが、翻訳者がまとめた評伝。前にドキュメンタリーで見たレイチェルの自宅周辺の景色に思いを馳せながら、告発した内容は当時のアメリカの政府を告発しただけにすごく勇気のいること。そんなことを綿密な取材と幼少時からの文章への親しみを綴った内容は今でも色あせない。こういう人が、普通の市井から出てくるアメリカの可能性はすごい。しかも日本の核がきっかけとは2014/08/21
ミドリスキー
2
レイチェル・カーソンについては沈黙の春の著者であることしか知らない状態で読んだ。生物学を学ぶか作家を目指すか悩んでいた頃は、科学を分かりやすく言葉で伝えることがこれほど求められていたとは知る由もなかっただろう。死ぬことも自然なこと、という言葉が美しかった。2020/11/21
Yuko
2
彼女の生い立ち、学生時代、家計を背負って公務員として働きながら研究し執筆を行った日々等、20世紀前半という時代に女性で科学を学ぶこと、そして働き研究を続けることの大変さを改めて知った。DDT農薬の生態系や環境への影響を発表した折には、農薬業界からの反対、誹謗中傷なども凄まじく、25万ドルもが反「沈黙の春」キャンペーンにつぎ込まれたそうだ。自分の世代ばかりでなく、未来の世代に対しても責任を持つことを自らの生命を賭して貫いた彼女の生き方、そして著作から、科学者、政治家、そして私たちも今一度学ぶ時だと思う。2014/12/01
橙子
0
貧乏だけどそれにめげない志があったからこそその後の生き方があった?不勉強なので何をやった人なのがまださっぱりなのでそちらの勉強をします。2015/11/19
ケリー@根が違う
0
レイチェル・カーソンの沈黙の春を読んで衝撃を受けてから、3年半。今回は、書店んでたまたま目に止まった自伝を読んでみました。2014/08/29